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4.俺の日常(拓郎視点)

はあ。


嫌な役目を引き受けちまった。


俺は重い足を引きずるように楓の家に向かった。


俺と、疾風と楓は小さい頃からの幼馴染だ。


それこそ生まれた瞬間といっても過言ではないほどの古い付き合いだ。


母親3人がとても仲良く、今も仲良くしている。


仲が良すぎて家まで3件並んでいるのだから呆れる。


俺の両親は小さい頃離婚していて、母親は有名写真家をしている。


幸い、父親の収入に頼らずに生きていけるほどの力を持っていたので今も何も不自由することなく暮らせている。


が、写真家なので全国、世界各国を飛び回っている。


そのせいで家が俺一人の時間が増えてしまうので2つの家族が俺を支えてくれた。


楓の家族も、疾風の家族も大好きだ。


息子同然に扱ってくれているので家も出入りが自由だ。


俺は楓の家に当然のように入る。


「おじゃまします・・・。」


と一応あいさつしてはいる。


「はーい!」という声が聞こえなかったので今は買い物中だろうか?


特に気にせず楓がいる2階の部屋まで駆け上がった。


「おつかれ。」


と楓に声をかける。


「おつかれー。」


と声だけが帰ってくる。


「また絵、描いてんの?」


「そうそう。またモデルになってよー。」


手を動かしながらこちらを見もせずに返答してくる。


そのくらいこの家にとって、楓にとって俺は日常の一つだった。


「あのさ、楓の連絡先知りたいっていう先輩居てさ・・・。教えても良い?」


「まじかー、べつにいいよー。」


となんともあっさりした答えだった。


「じゃあ、連絡先チャットにおくるわ。」


「はーい。」


と返事はするもののこちらを見ずに手を動かしていた。


「誰?とか気になんないの?(笑)」


と聞くと


「うーん、思うっちゃ思うけど・・・。友達居なかったし・・・。って感じ。」


「あっそ。」


俺から聞いたくせに少し冷たく返してしまった。


が、これも日常。特に何も起きない。


俺が楓のベットに転がって携帯をいじっていると


ドカドカドカドカ・・・


バアン!!


「来てやったぞ!」


と勢いよくドアを開けて疾風がいった。


「別に来なくていいんですが・・・。」


とやはり疾風を見ることはせず手を動かしている。


これも、日常なのだ。


夕食までの時間、疾風が部活がない日は大体楓の部屋で3人で過ごすことが多い俺達。


おばさんが「ご飯よ!」って呼びに来て解散するのも日常。


俺はだいたい夜ご飯は楓の家で食べている。


作業に疲れた楓がベットに転がり込んできた。


「おめーんだよ。お前は!どけ!」


「平均体重でーす!」


楓が疾風の上にわざとのっかりどけられている。


これもよくあることだ。


俺は二人のやり取りを傍でずっと見ている。


トントン・・


と軽い足音が聞こえてきて楓の部屋があく。


「ご飯できたわよ・・・って本当にあんたたち仲良しね。」


とおばさんが笑っていた。


「仲良くないよ・・。」


と楓が少し嫌そうにベットを降りる。


「だれがこんなブス・・・!」


といいながらベットを降りるとおばさんが疾風にげんこつをした。


「うちの娘は美人です。」


「すんません・・・。」


いつまでも続けばいいと思っているこの関係が崩れる日は来るのだろうか。


俺は毎日そんな事を考えていた。


今日の放課後までそれは思い過ごしだなんて思ったけど・・・。


恩人である剛毅さんのお願いに答えないわけにもいかない俺はすこし複雑だった。

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