2.気になるあの子
「入学式やっと終わったな〜」
「よし、これから1年生のクラス見に行こうぜ。」
「さっきは一瞬だったからわかんなかったもんな〜」
「剛毅もいくだろ?」
「あ、ああ。」
俺はあれから式が終わるまでずっとボケっと座っていた。
後ろ姿をずっと見つめていた。
まだ心臓がバクバクしている。
あの子は何組なんだろうか。
俺はこいつ等と一緒に1組からクラスを見に行くために歩いた。
1組目・・・
居ない。
2組目・・・
あ!あー違う居ない。
3組目、ラスト
居た。
クラス内は新しい友だちを作るためにみんな必死で声を掛け合っていた。
そんな中であの子は一人椅子に座り本を読んでいた。
ボッチ系女子なのか?
おれはあの子だけをずっと見ていた。
「剛毅、かわいいこでもいた?」
「え?い、いや居なかった。しけてんな今年の1年は。」
なんて話をそらして3組を後にした。
そうか、あの子は3組なんだ・・・。
その後もこいつ等が話してることが頭に入らずにぼけっとしていた。
「遅くなりましたっす・・・。」
といって頭を下げながら誰かがやってきた。
「拓郎!遅いぞ何やってたんだよ〜」
「いや、今日入学式ですよ・・・。」
そう言いながらみんなで拓郎の頭をぐりぐりと拳で遊んでやった。
拓郎は地元の後輩(当たり前か)で1個下。
今年中学に入学してきた。
俺たちが可愛がってる、可愛い後輩だ。
「で、拓郎は何組になったんだ?さっきクラス回ったとき見当たらなかったけど。」
「あー・・・多分トイレいってたっす。俺は3組になりました。」
「ささささ、3組!?」
と俺は思わず声を出してしまった。
「なんだよ剛毅。(笑)3組になんかあんのか?」
「やっぱり可愛い子とかいたんじゃねーの?」
「いや、そんなんじゃ・・・。」
「嘘だねっ!だって顔真っ赤だぞ!!!」
「!?!?!?」
鏡がないので確認できないが、言われてみれば顔が暑い。
「剛毅さん、俺にできることあれば言ってくださいね。」
そういって拓郎は少しだけ笑った。
その後はなんとかやり過ごして一日を終えた。