10.不安(拓郎視点)
連絡先を教えてから1ヶ月ちょっと。
なにか日常が変わるかなと少し恐れていたが変わらなかった。
剛毅さんから聞いた話では毎日メッセージのやり取りはしてるらしい。
ていうか剛毅さん奥手すぎじゃね?
とは思うが日常が崩れずに俺は安心している。
豪毅さんのことは好きだ。
俺は家族と楓と疾風しか好きじゃないけど剛毅さんは特別だ。
剛毅さんののぞみなら何でも叶えてあげたいって心の底から思ってた。
それがどんな願いでも叶えてあげたいって。
でも楓はあげられないっすよ豪毅さん。
選ぶのは楓っすけど・・・。
俺は楓が好きだ。
家族としても、友達としても異性としても。
多分幼稚園の頃からずっと好きだ。
できるんなら俺の胸の中にずっと閉じ込めていたいくらいに。
でも、俺は疾風も好きだ。
疾風も家族だし友達だし変わりなんて絶対居ない。
・・・そんな疾風も楓が好きだ。
多分思いの重さは一緒だと思う。
直接この話をしたことはないけど、楓を見る目がそう言ってる。
俺は、どっちも手放したくない。
だったらせめて2人の傍に居させてほしい。
3人の邪魔は誰にもさせない。
って決めてたのにな。
「あー・・・どうしよ。」
俺は頭を掻きながら楓の家に向かった。