表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ペット彼女~リアルの女に用は無い~  作者: 31
2章 ハツネの気持ち
8/12

私の気持ち

この話の前に「ハツネ」を読んで下さるとより楽しめると思います。

とあるペットショップで私が買われてから早1ヶ月。ご主人様にお世話をしてもらったり、遊んでもらったり、ハツネと言う素敵な名前を貰ったりして、毎日がとっても充実してます。


それにご主人様だけでなく、ご主人様のお父様もたまに構ってくれて嬉しいです。あ、母親はほとんど覚えてないけど、ご主人様を産んでくれた事は感謝してますよ。


強いて言えば…妹?そんな系の女が邪魔だけど、ちょっと邪魔したらヘコヘコしちゃって、やっぱ人間の女はチョロくて助かります。


まあそんな女の話はどうでも良いのです。






それよりも今日はご主人様と完全に二人っきりです!

二人っきりですよ!二人っきり!誰にも邪魔されずに存分に甘えれます!


「今日は留守番だね」


「みー」


お父様とご主人様の母親はお仕事、あの女は知ったこっちゃありませんが、まあ適当に遊んでるのでしょう。


「どうやって過ごそうか、ハツネ」


「み~み~」


ご主人様から名前で呼ばれるだけで暖かくなり幸せな気分になる。

ああご主人様、私は貴方と一緒に居られるだけで十分幸せです。

でもナデナデしてくれるならもっと幸せです。

だからご主人様!私の頭をナデナデして下さい!

そういった意味を込めてご主人様の指に抱き付いた。


「あはは、今日のハツネは随分と甘えんぼさんだね」


「み!み!」


早く!早く私をナデナデして下さい!

今度は顔を擦り付けてアピールしてみた。


「んー…撫でてあげたいけど、下手したら潰れちゃいそうだしな…」


「みー…」


本当にこの体型が恨めしい。

たった5cmしかない体だと、ご主人様は私を潰してしまうと思って全然ナデナデしてくれません。

せめて意思さえ伝われば状況は変わるのかもしれませんが…


「みー!みー、み!みー!みー!」


「あれ?どうしたの?…あ!もうお昼か!ちょっと待っててね!」


「みー…」


違うんです。そうじゃないんです。

やっぱり言葉の壁は大きいですね…







「今日は良い天気だね、ハツネ」


「み!」


今日は天気もとても良いので、お散歩に連れてってくれました!お散歩と言っても、私はご主人様の胸ポケットに入れて貰ってるので、歩いてるのは実質ご主人様ですけどね。


私も本当はこの足を使ってご主人様の隣を歩きたいです…

でもこの体では危ないからと、普段は絶対に歩かせてくれません。


私の為のお散歩なのに、歩いてるのがご主人様だけなのがやるせません。


…もしも私がご主人様の隣を歩けたなら。

ああ、何故私はこんなにも体が小さいのでしょう…


「どうしたの?もしかして楽しく無かった?」


「み!み!」


え!?そんな事ありませんよ!もしかするとさっきのネガティブな感情が顔に出ていたのでしょうか?必死に首を横に振って否定しました。


「そう?なら良かった。帰りたくなったら何時でも言ってね?」


「みー」


ふう…何とか危機は回避しましたね。

ここらで一度ご主人様を休ませてあげたいのですが…

お、あそこに丁度お店がありますね。


「み!みー!みー!」


「あ!かき氷売ってるね。少し休もっか」


「みー…」


かき氷までは望んで無かったのですが…

余計なお金を使わせてすみません…

本当に言葉が喋れたならなぁ








「どう?美味しい?」


「みー♪」


…悔しいですが冷たくて美味しいです。

ですが、私にばかり食べさせてご主人様は全然食べてません。

もっと食べて下さい!私はご主人様の楽しそうな顔とか喜ぶ顔が見たいんです!


だから、スプーンを使って私が食べさせてあげます!丁度このお店には私に合った食器類がありますので!


「みー、みー」


縁に何とか立って、かき氷をスプーンで掬いご主人様に渡しました。


「僕にくれるの?」


「み!」


ご主人様はスプーンを受け取ってかき氷を食べてくれました。本当は食べさせたかったのですが、まあ良いでしょう。


「うん。冷たくて美味しいよ」


良かったです!喜んでくれました!

さあさあ!遠慮は要りません!もっと食べて下さい!


ツルッ



スポッ


調子に乗った私は足を滑らせてしまい、かき氷にまっ逆さま。軽い体が影響してどんどん沈んでしまいます。


「~!~~!」


「ハ、ハツネ!大丈夫!?」







「どう?寒くない?」


「みー」


ご主人様に救出してもらい、今私はタオルでくるまれています。

休んでもらうつもりが、逆に余計な仕事を増やしてしまうとは…


ペット彼女として失格ですね…


「もうそろそろ帰ろっか。ハツネもお腹空いたよね」


気が付けばもう日が傾き初めています。

楽しい時間とはあっという間に過ぎてしまうものですね。

今日の反省をしつつ、ご主人様と一緒に家に向かいます。









夕食ですが、私だけは別メニューですね。まあこのサイズですし仕方ない事ではありますが。


「はいハツネ!今日はおにぎりだよ!」


「みー!みー!」


今日の夕食はご主人様手作りのおにぎりです。色々な物を作ってくれますが、私はこれが一番のお気に入りですね。


だって、ご主人様の指や手で触られた物ですよ!絶対美味しいじゃないですか!


今日も美味しく頂かせて貰いますね♪


「どう?美味しい?」


「みー♪」


「あはは、ハツネは本当におにぎりが好きなんだね」


正確には「ご主人様手作りの」おにぎりですけどね。


ごちそうさまです。今日も美味しかったですよ♪








ご主人様は私の住んでいる水槽を持ってリビングに向かっていた。

この時間はご主人様個人の時間で、決まって私はリビングに置いていきます。


「じゃあここで大人しくしててね」


「みー」


流石のご主人様も四六時中私に構ってる訳ではありません。

ご主人様にも生活がありますし、どうしても私は邪魔者になっちゃう事がありますしね。


本当は寂しいですが、私は大人だから我慢します。良いペットはご主人様に余計な手間はかけさせないんですよ。


さて、どうしましょう。一人で遊ぶのも良いですが、ご主人様と一緒でないとやっぱり物足りません。


…そういえばまだ入浴を済ませてませんでしたね。今の内に済ませてしまいましょう。


今日はかき氷事件があったこともあり、常温水でなくお湯を用意してくれてます。

手を入れてみると普段より温かいです。これなら冷えた体にも良さそうですね。


ちゃぽん


あったかいです…

冷えていた体に熱が行き渡って行く感じがします。

最近はご主人様がお水を用意して、私が一人で入る事が多いですが、本当はご主人様と一緒に入りたいです。

ご主人様は私に気を使ってるのか、お風呂だけは干渉してきません。

初めて出会った時に恥じらいを持っていたせいで「お風呂の手伝いは嫌がる子」と認識されてしまいました。

何故あの時はあんなに恥ずかしかったのでしょう…


しても遅い後悔を感じながらお湯に浸かっていると、私を呼ぶ声が聞こえてきました。


「ハ、ハツネちゃーん。まだ起きてる?」


おや、この声は…


「お風呂中にごめんね!ほら!前食べたチョコレート!もっと良いのにして返しに来たよ!だからさ、ね?」


またですか…ここ最近はずっと私に付きまとって正直ウザいです。

ご主人様と仲直りしたいが為に私の機嫌を取ろうとしてるみたいですが、絶対お断りです。


そんな事してる暇があるならご主人様に頭の一つや二つ下げてくれば良いんじゃないですか?

まあこの女は馬鹿そうですし、そんな考えには至らないでしょうね。


それ以前に入浴中に突撃するとかマナーがなってませんよ?


「ほら!美味しいよ!食べさせてあげるから!」


めんどくさいですね…

チョコを摘まんだ手を近付けて来ますが、この女が触った物なんて触りたくもないのですが…。

でもチョコには罪はありませんし、頂きますよ。私は大人ですので。


「みー!!」


ガブッ


「いったああい!ち、血がー!」


チョコを摘まんだ指ごと噛んでやりました。ざまあみやがれです。

後でちゃんとお口を洗浄しないとですね。


あ、チョコは美味しかったですよ。ごちそうさまです。







「じゃあ電気消すよー」


あれから用事が済んだご主人様は一緒に遊んでくれて、気がつけばもう夜の11時半です。

ですが!まだ私の一日は終わってません!まだご主人様に添い寝する事が残ってます!


…まあ流石に添い寝は危険過ぎると思いますが、近くで寝ることくらいは許してくれますよね?


「みーっ、み、み」


就寝準備をするご主人様に必死に訴えます。お願いです!伝わって下さい!


「一緒に寝たいの?」


「みー!」


やりました!伝わりました!


するとご主人様は水槽の中の布団を持ち上げると、近くのテーブルの上に置いてくれました。きっとご主人様が出来る最大の譲渡でしょう。


「ここなら大丈夫だね」


本当は枕元が良かったですが、仕方ありませんね。大人ですからこれ以上ワガママは言いません。


「じゃ、おやすみハツネ」


「みー…」


暗くなった部屋で私は一人思いました。


もしもこの口でお話が出来るなら


もしもご主人様と同じ大きさになれたら


また変わったのかもしれません



だからご主人様


私も頑張って言葉を覚えます


頑張ってもっと大きくなります


だから、いつか恩返しさせて下さいね。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ