プロローグ
どうも、こんにちは。ナハァトです。
少しずつ書き、区切りのいいところまで書けたので投稿する事にしました。
見直しつつ、順次投稿していきます。
楽しんでいただければ幸いです。
どうぞ、よろしく!
雨。大雨。豪雨とまではいかないが、至るところに水溜まりが作られ、視界は良好とはいえない。
そんな天気であっても、家で大人しくしていない者も居る。
森の中を駆ける馬車もその一つ。
いくつもの馬車が大雨など関係ないとでもいうように森の中を駆けていた。
どの馬たちも煩わしさを感じているだろうがそんな様子は一切見せず、御者台に座る者たちは黒いローブのような合羽を揃って羽織っているが、あまり効果はないように見えるくらいに誰しもが濡れている。
それでも急いでいるのか、速度が緩まる事はない。
だが、そんな馬車の一団の中央にある一台。
周囲の馬車から守られているような位置にある馬車の御者台に向けて、馬車内部から声がかけられる。
周囲には大雨の音でかき消されたが、御者台には届き、御者の合図に合わせて馬車の一団の速度が次第遅くなっていき……この一団は最後にはなんでもないようなところでとまった。
同時に、中央馬車本体の扉が開かれる。
そこから飛び出すように現れたのは、絹のような金髪の女性。
身に纏うドレスが濡れ、跳ねる土で汚れようとも気にせず、来た道を駆けて戻って行く。
「――様っ!」
次いで、馬車本体の開けた扉から姿を現したのは、鎧姿の紺色の短髪女性。
先に飛び出した金髪の女性の名を叫んだのだろうが、大雨にかき消されてしまった。
仕方ないとばかりに鎧姿の女性も大雨の中に飛び出し、金髪の女性のあとを追う。
周囲の馬車から、鎧姿の女性と同じデザインの鎧を身に纏う者たちが次々と出て来て、同じようにあとを追っていく。
馬車の一団から少し後方に戻ったところにある、一本の木の前。
そこに金髪の女性が座り込んでいた。
「――様っ! ――様っ!」
鎧姿の女性が近付いた事で聞こえたのか、金髪の女性が振り返る。
「回復薬を持ってきて! 酷い怪我をしているの!」
金髪の女性と木の間には、その木にもたれかかるようにして座っている、血塗れの男性が居た。