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異世界転生俺TUEEE~女難の冒険者~  作者: 頭のおかしな神
第四章 家出令嬢と痴女銀狼
96/139

096, 0-54 幕間・家出令嬢の救助

・セリーナ=ハルフォードの救助



前回のあらすじ

 実況のゴブリンさ~~ん!

洞窟に入るとジョニーが走り出す。

「おい、ジョニーどうした!」

ジョニーは、私の問いに答えることなく洞窟の奥へと消える。

耳をすませば女性の声が聞こえる。

ジョニーは女性を助けるために走り出したようだ。

私もジョニーを追うために走ろうとするも松明たいまつの炎が揺れてうまく走れない。

仕方なく早足で進めば道が分かれている。

右に進むと行き止まりだった。

引き返し進めば広い空間でジョニーが女性を保護していた。

女性をよく見れば頭部に獣の耳が生えている。獣人だ。

「ジョニー、その女性は・・・」

女性はひどく怯えているのかジョニーにすがり付く。

「ゴブリンに囚われていた女だ。女性の方がいいだろう」

ジョニーは女性の手を丁寧に外し、私の方へ促す。

だが、女性はジョニーを信頼しているのか拒む。

「アナタがいいです。おぶって下さい」

(最初に駆けつけたジョニーを信頼しているのだな・・・)

「お前が頼りにされているのだからお前が面倒を見るべきだ」

ジョニーは数瞬ためらいを見せるも、女性に背を向ける。

女性は勢いよくジョニーの背に抱きついた。




洞窟の出口に向かいながらジョニーと話をする。

「急に走り出したからどうしたのかと思ったぞ」

「『お~い、誰か~』と呼ぶ声が聞こえたからな」

「私も女性の声は聞こえたが、何を言っていたのかまではわからなかったぞ。ジョニーは耳が良いんだな」

「いや、集音の魔法を使っていただけだ」

「集音の魔法?」

「周囲の音をよく聞きたい、とイメージするだけだ。森に入ってからはずっと使っている」

「なるほど。便利そうだな」

「使いたいなら練習するといい。使う魔力は少なくし、徐々に増やしていけ。多すぎると鼓膜が破れるからな」

「ジョニーはそういった知識はどこで学んだのだ?」

「俺は知識の神・ビブリチッタ様の孤児院で育ったからな。子供の頃はよく本を読んで過ごした。わからない文字があるとシスターに聞きに行ったのはいい思い出だ・・・」

「そうか・・・」

(ジョニーは孤児だったのか・・・)



悪いことを聞いてしまったと会話が途切れると、獣人の女性が空気を読んだのか明るい声で話し始める。

「アナタはジョニーさんというのですか?」

「ああ」

「私の名前はヘルガです。これからよろしくおねがいします」

「街までは送ってやろう」



(気丈な女性だな)

「私の名前はセリーナという。ジョニーならば助けになってくれるだろう」

「はい!」



「いや、街まで―――」

「頼りにしてますジョニーさん!!」




洞窟を出るとヘルガは「少し待って下さい」と言い、洞窟の裏へと隠れる。

少し待ち、姿を見せたヘルガは服を着ていた。

「その服はどうしたんだ?」

「拾いました」

「そうか、拾ったのか。運が良かったな」

「はい!」

獣人特有の感覚で見つけたのだろう。

ゴブリン達が集めていたものかもしれない。

「あっ・・・あぁ・・・」

「どうしたヘルガ!」

「少し目眩めまいが・・・」

「ジョニー!背負ってやれ!!」

「・・・ああ」

倒れたヘルガにジョニーが背を見せれば、ヘルガはジョニーに飛びついた。

ヘルガはジョニーに惚れてしまったのかもしれない。



私の考えは当たっていたようで帰りの馬車の中、ヘルガはジョニーに抱きついている。

(これは応援してやらねばな・・・)

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