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異世界転生俺TUEEE~女難の冒険者~  作者: 頭のおかしな神
第四章 家出令嬢と痴女銀狼
95/139

095, 0-53 幕間・家出令嬢の学習

・セリーナ=ハルフォードの学習



前回のあらすじ

 ジョニーだ―――

森を歩き、少し開けた場所に出ると洞窟があった。

ジョニーは洞窟の入口まで行くと、大声でおかしな事を言い始めた。

「さあ本日もやって参りましたゴブリン退治の時間ですっ。緑コーナー、ごぶり~~~~ん!!」

「お、おいジョニー。何だそれは・・・」

「ゴブリンを呼んでいる。本に全て載っているぞ」

本をめくりゴブリン退治のページを見ると、たしかに洞窟の前で冒険者がゴブリンを呼んでいる絵が載っている。

『洞窟暗い』『外明るい』『呼ぶ』『30匹』『10匹ずつ』『3回』と単語で書かれている。

本の内容は正しいようで、ゴブリンが洞窟から出てきた。

ジョニーは剣を抜き、瞬く間に倒してしまう。

「実況のゴブリンさ~~ん!ただいまの勝負いかがでしたかーーー!!」

(やっている事はわかるが、この変な呼びかけは一体・・・)

ジョニーは出てきたゴブリンを倒し、また洞窟に呼びかける。

「最後に登場するのはやはりこのモンスター・・・。緑の小鬼、ごぶり~~~~ん!!」

(同じじゃないか・・・)

出てきたゴブリンを倒し終えたジョニーに私は尋ねる。

「ジョニーよ。本には『30匹』『10匹ずつ』『3回』と載っているが・・・、全て倒してしまったのか?私は何をすればいんだ?」

「それは・・・お前の技量であればゴブリンなど練習にならんだろう。魔石回収を教えてやる」

「そ、そうか・・・」

(こいつなりに私を評価していたのだな・・・)




「胸部をおおう骨、肋骨に沿ってナイフを入れてやる。一番下の骨だな。切る範囲は自分の拳が入る分だけでいい。その後はこの手袋を使う」

ジョニーは腰のポーチから手袋を取り出す。

「スライムの皮を使った手袋だ。ゴブリンはあまり血が出ないモンスターだが、流石に体の中に手を突っ込むと血で汚れる。モンスターの多くは心臓の下に魔石がある。斜め上辺りに手を伸ばすと見つかる。膜に包まれているが引っ張れば簡単に取れる。この手袋はやる。やってみろ」

「この手袋はいくらするのだ?」

「金貨1枚だな」

(やはり金に困ってはいないのか・・・)

ジョニーの教えに従い魔石を回収する。

「出来たぞ」

「よし、ついでにゴブリンが持っていたナイフも集めろ。魔法の袋は持っているか?」

「ああ」

「なら回収した魔石やナイフは自分の袋に入れろ。ナイフは武器屋に売れる。残りのゴブリンからも回収しろ。練習だからな。全部一人でやれ」

魔石とナイフを回収する単調な作業を続ける。

ジョニーはおかしな男だが真面目なのか、私の移動に合わせて後ろに付き、回収作業を観察しているようだ。

全ての回収が終わり振り向けば、ジョニーはなにか考え事をしている様子でまぶたを閉じている。

「終わったぞ」と声を掛けると、ジョニーはまぶたを開き「そうか」と言った。

(ずいぶんと硬派な男だな・・・)

「死体はどうするんだ?」

「ゴブリンの死体は魔石を取ると自然に消える。念の為に生き残りがいないか洞窟に入って調べる。・・・たまに爆睡してる奴がいるからな」

ジョニーは木の棒を拾い、腰のポーチからボロ布を取り出すと棒に巻き付け、火打ち石を使って火をつけ松明たいまつを作った。

「これを持って行くといい」とジョニーは松明たいまつの持ち手をこちらに向ける。

(魔法を使えばいいだろうに・・・。細かな魔法は苦手なのか?)

「私は光球の魔法が使えるから必要ない」

「・・・そうか。なら使ってみろ」

(出来ないと思ってるのか・・・?だが――)

私は光の球を魔法で作る。

「ほら、これでどうだ」

「少し歩いてみろ」

「歩く?」

「その場所から移動してみろ。前でも後ろでもいい」

また訳のわからんことを、と思いながら歩くが―――。

「光球が・・・付いて来ないな」

「浮かぶ光の球を思いうかべたんだろう。当然だが、それでは動かず止まったままだ。使う必要があったから光球の魔法を覚えたんじゃないのか?普段から使っていれば気づくはずだが・・・」

「いや・・・その、普段はランプの魔法具を使っている」

「そうか・・・。光球の魔法を実用的に使いたいのなら、一定速度で飛ぶ光の球、とイメージするといい」

「なるほど」

「だが、この方法でも曲がったり、止まったりする時に魔力で操作する必要がある」

「少し難しそうだな」

「そこで魔力消費も少なく、操作も必要ない方法がある」

「そんな方法があるのか?!」

「見ていろ・・・」

そう言ったジョニーの頭部が急に輝きを放つ。

「頭に光球の魔法をくっ付けるだけという簡単な方法だ。これなら、歩こうが走ろうが止まろうが光球は常に頭にある。首を動かしても視線の先を照らしてくれる。便利だぞ。やってみるといい」

「いや、私は・・・」

「どうした。さぁ早くやってみろ」

「そのだな・・・」

「光球の魔法が使えれば簡単に出来る」

「せっかく松明たいまつを作ったのだ・・・。それを使わせてもらおう」

「そうか・・・。では受け取れ」



ジョニーはなかなか凄い奴かもしれない。

私と違い実戦経験も豊富なのだろう。

細かな知識もある。

だが・・・。

頭部を光らせるジョニーを見て思う。

(あれは真似たくないな・・・)

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