077, 0-45 幕間・毒舌プリーストの選別
・エミリアの選別
前回のあらすじ
カナリッジは滅んだ
奇人という二つ名が付き15歳になったジョニーは、大鬼将軍を1人で倒してしまった。
ジョニーは格好良い。
綺麗好きでいい匂いがする。
頭も良くて、親切で礼儀正しく、思いやりがある。
実力もあって、お金を稼げる。
そして、時折見せる可笑しな振る舞いも魅力だと、女性達に噂されるようになる。
マザー・ウィニーは言っていた。
誰にでも運命の相手が1人はいると。
沢山いる人もいると。
ジョニーは私の運命の人。
だから私は、ジョニーに近づく女性達が運命の人かどうかを見極める事にした。
酒場で給仕として働いているリビーさんが女性受付のプルネラさんと話している。
「奇人は当たりかもな~~~」
「当たり?」
「ちょっと若すぎるけど・・・、金払い良いし、顔も良いし、面白いし、結婚しても飽きそうにないじゃん」
「けっ、結婚!ダメだし!ジョニーはダメだし!」
「駄目ってなんだよ。あ~~~プルネラは奇人苦手だもんな~~~」
「別に苦手じゃないし・・・。最初は変な奴って思ったけど・・・、スタンプ押せるようになったし・・・」
「なんだよ~~~。プルネラも狙ってたのか~~~」
(この人達は駄目)
私は2人に近づき厳かに言う。
「あなた達はジョニーの相手に相応しくありません」
不満げな顔でリビーさんが言う。
「あっ?なんだよエミリア。お前にそんな―――」
「知ってるんだから」
「何を―――」
「スープをわざと零してお金をくすねてるの知ってるんだから!衛兵に言ったら奴隷落ちなんだから!!」
「ちょっ、声でかい声!それは洒落にならないやつだから!」
呆れた顔でプルネラさんが言う。
「そんな事してたし?」
「知ってるんだから」
「わ、私は何もやましいことないし・・・」
「商工会長の愛人って知ってるんだから!コネ採用って知ってるんだから!!」
「それ言っちゃダメなやつだし!」
リビーさんが驚いた様子で言う。
「商工会長って・・・、えっ!あの商工会長?!」
プルネラさんが涙目で言う。
「仕方ないし。私何やっても上手くいかなくて・・・愛人になったら仕事くれるって・・・。愛人やめたら冒険者ギルドクビになって生きていけないし」
リビーさんは同情したのかプルネラさんを励ます。
「いや・・・、まぁでも立派だよ。なんだかんだで上手くやってんじゃん。スタンプも押せるようになったんだからさ!なんならジョニーと結婚すれば―――」
おかしな事を言い出したリビーさんを阻止する。
「ジョニーにちょっかい出したら全部バラします。盛大にバラします。街中に広めます」
「脅迫じゃないかっ!」
「2人共、よくよく心に留めておきなさい」
こうして私は、ジョニーに近寄ろうとする女性達を追い払っていく。
ある日、1人の少女がジョニーを見つめていた。
彼女について調べると、ジョニーと同じ村出身だと判明した。
孤児院も同じで、ジョニーを追いかけ冒険者になったのは間違いない。
だから私は声をかける。
「あなたがジョニーに相応しいかどうかを見極めます・・・、アデラ!」
アデラは目を見開いて驚いていた。




