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異世界転生俺TUEEE~女難の冒険者~  作者: 頭のおかしな神
第三章 冒険者ギルドと毒を吐く少女
73/139

073, 0-41 幕間・毒舌プリーストの毒舌

・エミリアの毒舌



前回のあらすじ

 スタンプ押してくれ!

「ここからは馬車で移動だな」

ラリーさんがそう言うとジョニーは歩いて行きたいと言う。

「どうしてだ?」

「あまりお金がないので歩きたいんです」

「馬車賃ぐらい俺が出してやるよ」

「いいんですか?」

「ああ、新人の頃は遠慮するな」

「では、お世話になります」

そう言い頭を下げるジョニーと一緒に頭を下げお礼を言う。



馬車が動き出すとラリーさんが言う。

「よし、じゃあそれぞれ何が出来るか、戦い方なんかをお互いに話しておこう」

「俺は剣術と投石ぐらいですね。魔法も使えます。攻撃魔法も使えますが・・・やっぱり身体強化中心ですね」

「身体強化はどれぐらい持つんだ?」

「6時間ぐらいです」

「そりゃすごいな。投石はどの程度当たるんだ?」

「百発百中です」

「すごい自信だな」

「村ではよく石を投げてましたから」

「そうか。まぁ、近距離と遠距離で攻撃手段があるなら悪くない。エミリアは何が出来る」



「わ、私は回復魔法や支援魔法が使えます」

「魔力干渉魔法使いなのか!・・・だがそれなら、街の中で安全に金を稼げるんじゃないか?」

「えっと、冒険者になって人助けをしたいんです!それに、身体強化も使えるので自分の身は自分で守れます!!」

「そうか・・・。その杖は魔法の装備か?」

「魔法の効果を上げられます」

「へぇ~。やっぱり魔法の装備なのか。すごいな~」

ラリーさんが感心した様子で頷きながら言うと、ジョニーも「すごいな」と言ってくれた。

マザー・ウィニーがくれた装備を凄いと褒めてもらえるのは嬉しい。

ジョニーは少し変だけど、礼儀正しくて優しい男の子だった。

(流石に運命の人じゃないよね・・・)

マザー・ウィニーは、多くの出会いがあれば運命の人にも会える、と言っていた。

冒険者になったばかりで運命の人に会えるとは思えない。




ラリーさん達が大型モンスターに挑戦する為に頑張っている話を聞いていると、馬車が止まる。

「俺達はダンジョンじゃなくて森の洞窟にいるゴブリン退治だからな。あっちだ」

森の中に入ると、ラリーさんが採取依頼で必要な知識を教えてくれると言う。

「あの赤い草。あれはピリッと辛くて、煮込み料理なんかに俺も入れるんだけどな、あれと似た毒草が―――」

「知ってます」

マザー・ウィニーがいつか役に立つからと教えてくれた知識にはちゃんと意味があったんだ!

私は嬉しくて、ラリーさんが説明してくれる度に「知ってます」「知ってます」と言葉を返す。

そんな時、ジョニーが急に剣を抜いて地面を払う。

よく見ると、蛇のようなモンスターが死んでいた。

(私、全然気づかなかった・・・)

周りに気を配っていなかったことを少しだけ反省する。

ジョニーの動きを見て安心したのか、ラリーさんが「俺は必要なさそうだな」と言い、前を歩くサンディーさんの元へ行ってしまった。

(凄いなジョニー・・・)

「ねぇジョニー、さっき村で石を投げてたって言っていたけど、剣術も村で教わったの?」

「いや、俺の剣術の師匠は衛兵だ」

「衛兵?」

「俺は開拓村出身なんだ。魔力汚染で大人が死んでな。その後、遺体を火葬したら煙を見た騎士が救助に来てくれたんだが・・・。他の子供に怖がられて火付けのジョニーと呼ばれるようになった。一人で暇だったから、よく孤児院に来る衛兵に剣術を教わったんだ」

「へ、へぇ~そうなんだ」

(ジョニーは私と同じで開拓村出身・・・、ジョニーのおかげで救助が来たなら私の命の恩人・・・、同じ日に冒険者になって・・・、もしかしてジョニーは私の運命の人・・・)

「ジョ、ジョニーは歳はいくつなの?」

「今日で12歳だな」

(わ、私と同じ誕生日だ・・・)

でも、いくら何でも出会いが早すぎる気がする・・・、見極めなきゃ。

ジョニーが運命の人なのかどうか、ゴブリン退治で・・・、支援魔法をかけて・・・それでエミリア凄いって言ってもらって・・・、それで・・・その後―――。



「ゴブリンだ!ゴブリン退治だ!!」

私が色々と考えている間に洞窟についていたようで、ジョニーは1人で洞窟に入ってしまった。

(冒険者ギルドを出た時と同じように中で待っててくれるのかな・・・でも・・・)



「あの!い、急がないと・・・」

「さっきの剣さばきを見る限りじゃゴブリン程度にやられるとは思えない。まぁ、勝てない時は戻ってくるだろう」

ラリーさんはそう言うと木の棒を拾って松明たいまつを作り出した。

(い、急がないと・・・。支援魔法を・・・。私の支援魔法で・・・)

松明たいまつを持ったラリーさんにサンディーさんと私が続く。

(大丈夫・・・。まだそんなに時間は経ってないし・・・。私の支援魔法で・・・)

「お!いたな」

ラリーさんの声で気づく。

(ジョニーがいた。ジョニー・・・、ジョニー・・・)

少しだけ広い空間に出ると・・・、ゴブリンはみんな死んでいた。

(ど、どうして・・・。私の支援魔法が・・・。どうして・・・。どうして・・・待っててくれなかったの・・・?)



「ちょっと、何勝手に飛び出してるのよ危ないでしょ!」

「いや、ゴブリンぐらい倒せるから・・・」

「倒せればいいってものじゃないでしょ!」

「いや、倒せればいいんじゃ・・・」

「いいわけないでしょ!大体、私の出番ないじゃない!支援魔法とか・・・私の出番ないじゃない!どうするのよ、反省しなさい!!」



別にジョニーは悪くないのに、私は酷い言葉を浴びせてしまう。

ジョニーがラリーさんやサンディーさんと魔石を回収している間もずっとなんだか酷い事を言ってしまって、気づいたら馬車の中だった。

(どうしよう・・・。私何もしてない・・・)




私の最初の人助けは、ただ酷い事を言うだけで終わってしまった・・・。

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