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異世界転生俺TUEEE~女難の冒険者~  作者: 頭のおかしな神
第三章 冒険者ギルドと毒を吐く少女
68/139

068, 0-36 幕間・生意気男子の勝利

・デュークの勝利



前回のあらすじ

 ジョニーは死んでしまった

「我こそは魔王ジョニー!我が呼び声に応えよ小鬼共・・・すれば世界の半分をやろう!!」

ジョニーがゴブリンを呼ぶと、10匹のゴブリンが洞窟から出てきた。

ジョニーはゴブリンを倒して、また洞窟へ向かう。



「僕の名は勇者ジョニー!世界に蔓延はびこる悪を討つ者・・・いざ、尋常じんじょうに勝負っ!!」

出てきたゴブリンをジョニーは倒す。



「光と闇を併せ持つ者・・・私は超越者ジョニー!さぁ、異世界人を召喚する儀式のにえとなれ!!」

ジョニーは3匹のゴブリンだけ残して倒した。

1匹のゴブリンを縛り、2匹のゴブリンをアデラの元に連れて行く。

ゴブリンはナイフを持ったままなのに、ジョニーに逆らわない。

「どう倒すか考えているか?」

「大丈夫」

ジョニーはゴブリンたちに言った。

「お前達の子供は預かった・・・。返してほしければ目の前の女を殺せ。出来なければ・・・わかるな」

ジョニーが離れると、ゴブリンたちはアデラに向かって走り出した。

アデラはナイフを投げて、木剣を突き出した。

アデラはまるでジョニーみたいに、2匹のゴブリン倒してしまった。



「悪くない動きだ。ダンジョンの低級階層ぐらいなら問題ないな。次はお前だ」



そう言ってジョニーは、ゴブリンを連れてくる。

(ゴブリンは目を突けば倒せる・・・。大丈夫だ・・・。ちゃんと訓練したんだ・・・)

「ゴブリンさ~ん、最近あいつ生意気なんですよぉ。ちょっとしめちゃってくれません?」

ジョニーがそう言うと、ゴブリンは「ゴブゴブ」と言いながら向かってきた。

俺は木剣でゴブリンの目を狙って突く。その突きは、ちゃんとゴブリンの目に刺さって、ゴブリンは死んだ。



「や、やった。俺も倒せた・・・」

「やったねデューク」

アデラも喜んでくれる。



ジョニーが倒れたゴブリンを見ながら言う。

「これでやっと面倒も終わりだな」

「終わり?」

「ああ・・・、ゴブリンを倒せたからな。後は、仲間と協力して頑張れ」

「そうか・・・これで俺たちも、新人じゃなくなるのか・・・」

「いや、まだ新人だぞ」

「え?でもゴブリンを倒せたし・・・」

「なにか勘違いしているみたいだが・・・ゴブリンは弱いモンスターだぞ」

「よ、弱いモンスター?だってこんなに強いのに」

「素人がちょっと訓練して木剣で倒せる程度のモンスターだ。弱いだろ」

「そう言われると弱い気がするけど・・・」

「本にも載っているが・・・まぁ、いい。実際に見るほうが早い。魔石やナイフを回収して洞窟を見たら、ダンジョンに行く。ゴブリンは弱いとすぐに分かる」




ゴブリンを弱いと言うジョニーと一緒にダンジョンに入る。

(ジョニーはゴブリンを10匹相手にしてもすぐに倒しちゃうけど、それはジョニーが強いだけで、ゴブリンが弱いわけじゃないんじゃ・・・)

「広い」とアデラが驚いた声で言う。

(なんか変な感じだな)

階段を降りた長さと天井の高さが違う気がする。

「ダンジョンについて深く考えるな。通路を進めば部屋がある。大体そこにモンスターが居るが・・・通路にいる事もあるから油断するな。今から行くのは中級階層だが、お前達だけでは絶対に行くなよ」

「どんな場所なんだ?」

「出てくるモンスターが違うだけだ」

部屋にいたブヨブヨしたモンスターをジョニーは蹴飛ばし進む。

俺たちはその後を付いて、階段を何度か降りる。



そして広い部屋に着くと・・・そこにはゴブリンより、ずっと大きいモンスターがいた。

そのモンスターを見てジョニーは言う。

「後ろを向いてるな。運がいい」

3匹のモンスターが振り返って、2匹のモンスターが倒れた。

「え?!も、もう終わりか?どうやって・・・」

「振り返るタイミングに合わせてナイフを投げただけだ。目に刺されば死ぬ。ゴブリンと同じだな。3匹倒そうと思えば倒せたが、あっさり倒してしまうと何の為に連れて来たかわからんからな・・・。お前達は此処ここで見ていろ」

ジョニーがモンスターに向かって歩いていく。

モンスターは、倒れた仲間を見て、ジョニーを見て、「グゥアアァァアアァァアア」と大きな声で叫んだ。

(こ、怖い)

モンスターがジョニーを殴ろうと腕を振り回して、ブンッという音がする。

でもジョニーは、その攻撃を避けてモンスターを剣で斬りつける。

何度も何度もそれを繰り返す。

「ジョニーすごい」とアデラの驚く声が聞こえる。

(ほ、本当にすごい。なんで避けられるんだろう)

速かったモンスターの動きはだんだん遅くなっていって、ジョニーが目を刺して、終わった。

結局モンスターの攻撃は、ジョニーに一発も当たらなかった。



「ちょっと来て体を触ってみろ」

アデラがジョニーの側まで行って、ジョニーの体を触る。

「俺の体ではなくモンスターの体を触れ」

「ご、ごめんなさい」

「いや、いい。今のは言い方が悪かった。モンスターがどんな体なのか触って確認してみろ。魔石回収もついでにしてみろ。場所はゴブリンと同じだ」



俺は、モンスターに近づいて体を触ってみる。

(硬い)

魔石を回収しようとナイフで刺しても、上手く刺さらない。

「このモンスターはオーガ、新人殺しと呼ばれているモンスターだ。ゴブリンを簡単に倒せるようになった新人が、自分は強いと勘違いして中級階層に足を踏み入れ殺される。身体強化が使える普人より身体能力は高い。装備を整え、よく訓練して、経験のある仲間を見つけてから挑め。今のお前達じゃ絶対勝てないからな」

「そうか・・・これが、強いモンスターなのか・・・」

「いや、オーガも弱いモンスターだぞ」

「え!?ジョニーそれはいくらなんでも・・・」

「そもそも、このダンジョンに出てくるモンスターは弱い。強いモンスターは、騎士団が相手にする大型モンスターとかだな。俺も大型モンスターは倒せない」

「そ、そうなんだ・・・」

「まぁ、そう落ち込むな。ゴブリンを倒せるだけで収入は安定する。だが、油断はするなよ。ゴブリンに刺されて死ぬ冒険者もいるからな。命は一つしか無いんだ。大事にしろよ」

「わかった」



頑張って魔石を回収すると、ジョニーは魔石をくれると言う。

「いいのかジョニー?」

「ギルドに報告する時はちゃんと貰ったと言え。オーガを倒したと報告すると、冒険者ランクが一気に上がってしまうからな。依頼を受けるなら自分で考えないと駄目だが、冒険者ランクはギルマスが考えて設定した目安だ。新人の頃は当てにするのも悪くない。じゃあ、帰るぞ」




街に戻るとジョニーは「訓練を頑張れ。じゃあな」と言って帰ろうとする。

「ジョニー!えっと・・・」

俺は拳を突き出して言う。

「俺たち」

ジョニーは俺の拳をじっと見て・・・言った。

「師匠と弟子だな」

「そ、そうか・・・。そうだよな」

ジョニーと友達になれたかと思ったけど、訓練してもらったり、御飯をおごってもらったり、師匠と弟子だ。



師匠のジョニーにアデラが言う。

「あのね、ジョニー」

「なんだ」

「ずっと・・・ずっと、言いたかった事があるの・・・」

「言ってみろ」

「す・・・」

「す?」

「スープ美味しかった」

「そうだな、美味しかったな。まさか無料で食えるとはな・・・」

「そうじゃなくて・・・その、村でジョニーが作ってくれたスープ・・・美味しかったの。あの時、嫌いって言っちゃったけど・・・、本当は嫌いじゃないの。わたし、ジョニーのこと嫌いじゃないよ」

「そうか。まぁ俺も、あの時はあせっていたからな。お互い様だ、気にするな」

「う、うん・・・。ジョニー、また会える?」

「冒険者ギルドで会えるだろ。お互い、冒険者だからな」

「そうだね。・・・またね、ジョニー」

「ああ、またな」




ジョニーの後ろ姿をアデラはずっと見つめていた。



俺はアデラに恋をしている。



アデラはジョニーに恋をしていた。

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