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異世界転生俺TUEEE~女難の冒険者~  作者: 頭のおかしな神
第三章 冒険者ギルドと毒を吐く少女
64/139

064, 0-32 幕間・生意気男子の反省

・デュークの反省



前回のあらすじ

 グサッと殺してくれた

「えっと・・・どうしたんだジョニー」

「その革鎧はどうした」

「買ったんだ。安かったから中古で」

「そうか・・・まぁ、いい。いずれ必要になるし、安かったのなら、まぁいい。そのブーツはどうした」



アデラがちょっと落ち込んだ声で聞く。

「モンスターに噛まれたら病気になるかもしれないから、先にブーツを買おうって考えたの。駄目だった?」

「いや、考えて買ったならいい。その木剣はどうした」



「剣の訓練に必要だろ。だから買ったんだ」

「木の棒で十分だ。武器屋で買ったのか?結構高かっただろ」

「いや、鍛冶屋で友達から買ったんだ。クリフって奴だけど覚えてるか?ジョニーとはあんまり仲が良くなかったけど、いい奴でさ、ナイフも買い取って―――」

「ナイフを鍛冶屋で売ったのか?」

「え?!そうだけど・・・なにかまずかったのか?」

「武器屋なら30本のナイフは金貨1枚になるはずだ。鍛冶屋にいくらで売った」

「えっと・・・お金じゃなくてさ・・・ナイフを選んでもらって、鞘とかナイフを長く使うための道具とかと交換したんだ」

「中古のナイフは一本銀貨2枚で買えるぞ。手入れの道具も銀貨1枚ぐらいだ。全部合わせても銀貨5枚だな・・・。28本売って、鞘だけ買えばもっと得だな。武器屋も細かく計算してるわけじゃない。最初に28本売っても金貨1枚になっただろう・・・」

「じゃあ俺たち騙されたのか!?」

「そうじゃない。鍛冶屋は溶かして終わりだ。武器屋は手入れして売る。鍛冶屋と武器屋の考え方の違いだ。鍛冶屋はナイフを大事にしてもらいたかったんだろう。手入れの方法も教えてくれたんじゃないか?まぁ、手入れの方法を聞けたと考えるべきか。聞けば普通に教えてくれるが、情報料だと考えれば妥当だ。他に何を買った」

「道具屋で一番売れてる痛み止めを―――」

「い、痛み止めの水薬を買ったのか?」

「そうだけど・・・これも駄目なのか?一番売れてる商品って聞いたんだけど・・・」

「痛み止めの水薬は、怪我をした時、自己回復魔法を使えるように、痛みで集中が乱れないように、という理由で買う。保存期間は一月だから、まぁ、一番売れている商品ではあるだろうな・・・。お前ら魔法は使えるのか?」

「使えない・・・」

「そうか、じゃあ痛みを止めるだけだな。治療効果はない。お前ら、金はいくら残ってる。まさか全部使ったなんて・・・」

「実は・・・全部使っちゃったんだ・・・。でも!宿代はちゃんと払ったから大丈夫だ。今週の分、金貨4枚」

「金貨4枚?まさか・・・、一人部屋に別々で泊まったのか?二人部屋があっただろう・・・」

「えっと・・・男と女は別々の部屋で・・・」

「ずっと一緒に行動する、信頼を置ける仲間といて、新人が別々の部屋?ありえん。あの宿屋は、安くて二人部屋があるから勧めたんだぞ・・・。お前らは金に余裕があるのか?」

「実は・・・、俺たち最近・・・御飯を食べてないんだ・・・。我慢して・・・」

「冒険者が・・・武器や防具を買うのは・・・強くなるためだ・・・。素手より、武器持ってたほうが強いから買うんだ・・・。空腹で戦えると、思うか・・・?」

「思わない・・・」

「だろうな。栄養が足りないと筋肉もつかないだろう。わざわざ買った木剣を・・・ちゃんと振れているのか?」

「最近腕が重くて・・・」

「そうか・・・、もういい・・・、ここまでは初めてだ。今までいろんな新人がいたが・・・ここまでは初めてだ。飯を奢ってやる。とりあえず何か食え。死ぬぞ」

「え?でも・・・」

「新人は遠慮なんてする余裕はない・・・とにかくなにか食わないと駄目だ。座れ」




俺たちが座ると、給仕の女性がすぐに来てくれた。

「よっ!奇人の~。あんたが誰かと飯食うなんて珍しいね」

「今、面倒を見ている新人です。パンを6つ、スープを3杯、果物と水もお願いします。でたザリガニと、魚を使った料理があったら、それもお願いします。支払いはこれで」

「相変わらずよくうねあんた」

「本当は一日3しょくべたいぐらいです」

「それはちょっといすぎだろ。太っちまうよ」

そう言って、給仕の女性は酒場のカウンターの奥にいたオジサンと話すと、すぐに料理を持ってきてくれた。

でも、ジョニーのスープだけこぼしてしまった。

「悪いねジョニー」

「いえ、大丈夫ですよ。そちらは、火傷していませんか?」

「私は大丈夫さ」

「そうですか。お手数ですが、もう一度運んでもらえますか?」

ジョニーがそう言ってお金を渡すと、給仕の女性は嬉しそうにスープを持って来て、またこぼした。

ジョニーは給仕の女性を心配する。

「体調が悪いんですか?」

「いや、たまたま失敗が続いただけさ。悪いね」

そして、ジョニーがまたお金を払う。

「ジョニー、あの人わざとこぼしてるんじゃないか?」

「そうかも知れないが、人は誰でも失敗をする。お前達も失敗をしただろう。安易に疑うのは悪い事だ・・・」

「そ、そうか。そうだよな」

でも、やっぱりまたスープをこぼす。

「本当に大丈夫ですか?もうスープはいいですから休んで下さい」

「いや、今度こそ本当に大丈夫さ。ちゃんと持ってくるよ」

そうして、やっとスープをこぼさずに置いて、別のテーブルに行った。

別のテーブルでは、お客さんを殴っていた。

(あの人なんなんだろう・・・)




「よし、うか」

ジョニーはそう言うと、孤児院でもやっていた、手を合わせる儀式をする。

手を合わせる儀式は食前の祈り、っていうものらしい。ジョニーはどんな神様に祈ってるんだろう。

少し気になるけど、なんだか怖くて聞けない。

そんな事を考えているとアデラが言った。

「お、おいしい」

「ここの飯は美味いんだ。酒場の親父はかなり適当に作っているらしいんだが・・・、とにかく美味い。普通の飯屋より高いからお前らは利用しないほうがいい」

「うん」

俺もスープを飲んでみる。

(凄く美味しい)

お腹が空いていた俺がスープを夢中で食べていると、ジョニーがアデラの胸を触った。

「ジョ、ジョニー!!何してるんだよ!!!」

「これは魔力感知だ」

「魔力感知って!!!魔力感知?それって確か・・・」

「魔法を使えるようにしただけだ。魔力を感じるか?」

ジョニーが聞くとアデラは「感じる・・・」と呟いた。

「お前にもしてやる」

そう言って、ジョニーが俺の胸も触る。

すると、俺の中に何かがあるとわかる。

「それが魔力だ。これで痛み止めは無駄にならないな。飯を食い終わったら、魔法について教えてやる」

『安易に疑うのは悪い事だ・・・』とさっきジョニーが言っていたのに、俺は親切なジョニーが、やましい気持ちでアデラの胸を触ったと疑ってしまった。

(俺って最低だな・・・)

俺は、ジョニーを疑ってしまったことを反省しながら御飯を食べた。

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