063, 0-31 幕間・生意気男子の労働
・デュークの労働
前回のあらすじ
明日から頑張ろう
俺たちの朝は早い。
御飯を食べて、冒険者ギルドへ行き、採取依頼を受ける。
採取依頼は何を採ってきても達成出来るみたいで、掲示板には何枚も貼られていた。
街の外の森まで歩いて、本を見ながら、採取する。
クリフが選んでくれたナイフは便利だ。
一度、小型のモンスターがブーツに噛み付いてきたけど全然痛くない。
アデラがナイフでグサッと殺してくれた。
夕方、冒険者ギルドに行くと、ギルマスさんがいる受付は行列が出来ていた。
スタンプしか押せない人の受付は誰も並んでいない。
俺たちは、ギルマスさんの列に並んで順番を待つ。
「これは・・・、駄目ですね」
「え?!なんでですか?」
「潰れてしまっているので、ギルドでは引き取れませんね。露店なら買い取ってくれる人もいるかも知れませんが、新しく採ってきたほうが早いでしょう」
「そうですか・・・」
「全部合わせて、銀貨8枚ですね。新人にしてはよく採れた方です。自信を持ってください」
「はい・・・」
「銀貨8枚か・・・。でも、これなら金貨4枚貯りそうだな!」
「足りない・・・」
「え?どうしてだよ・・・。金貨1枚は銀貨10枚だろ・・・、なら―――」
「宿代の金貨4枚も必要だよ。だから金貨は8枚必要なの・・・」
「そうだ、宿代・・・。いや、大丈夫だよ!ギルマスさんも新人にしてはよく採れたって―――」
「御飯を我慢しよう」
「え?!」
「今日から御飯を我慢して、明日からもっと頑張れば、金貨8枚貯められると思うの。だから・・・今日から御飯は食べない!」
「でも、それはちょっと無理なん―――」
「食べない!!」
「わ、わかった、食べない」
その日から俺たちは御飯を我慢して、訓練をしながらお金を稼ぐ。
アデラは手先が器用で、採取もすぐにうまくなって、なんとか金貨8枚稼ぐことが出来た。
そして露店で革鎧を買って宿屋に戻る。
「デュークが着ていいよ」
「え?!でも・・・、俺はそのうち着れなくなるんじゃ・・・」
「デュークが着れなくなったら私が着る。一緒に買ったから・・・最初はデューク」
「そ、そうか。ありがとう」
なんだかちょっと難しくて、アデラに手伝ってもらいながら革鎧を着てみる。
「どうかな・・・」
「冒険者みたい」
「俺もう冒険者だよ」
「うん、でも冒険者みたい」
「そっか、冒険者みたいか・・・」
(これならゴブリンを倒せるかな・・・)
次の日、冒険者ギルドの酒場にいたジョニーに会うと・・・、俺たちは叱られた。
「お前ら、一体何を考えている・・・」




