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異世界転生俺TUEEE~女難の冒険者~  作者: 頭のおかしな神
第五章 赤エルフと青エルフ
138/139

138, 0-83 幕間・精霊女王の研究

・フニャフニャ=ムメ=ヒャワヒャワの研究



前回のあらすじ

 駄肉!

「チュンチュンチュン」

小鳥のさえずりとともに目を覚ます―――。

「う~ん・・・みこしゃま~~~ダメですよ耳をそんなにエヘヘ・・・」

昨夜は何もありませんでしたよ。ただ小鳥が鳴いて、メーリは寝ぼけているだけです。誤解しないように。

「メーリ、起きなさい、朝ですよ」

「ミコさまフニャさまヒャワヒャワさま~」

(呪文みたいですね)

体を揺すっても起きないので仕方なく笹穂耳ささほみみに息を吹きかける。

「ひょわっ!にゃっにゃんでしゅか!」

「朝ですよメーリ」

「あさ・・・おはよう、です・・・巫女さま・・・」

寝ぼけるメーリを洗面所まで連れ一緒に顔を洗い――昨日、カテリーナが『明日の朝食にぜひ』と置いていってくれたサンドイッチを食べ――着替える。

どうやら巫女は白いローブを着るようで、メーリやカテリーナも白いローブ姿でしたし――ただ、ローブの下は動きやすい服を選びます。ドレスを着るのは面倒ですし、どうせローブで見えませんからね。




午前――神殿へ行き、祭壇の前で精霊に祈り、メーリに文字を教わる。

お昼に「そろそろ昼食ですね」と言えば「お昼に御飯は食べませんよ巫女様。食いしん坊さんです」と言われ――午後は一般常識と魔法の練習。

日が沈む前に訪れたカテリーナと夕食を作り、食後に入浴。一緒に寝たいと言うメーリを追い返して就寝―――。



字を覚え、本を読めるようになると得られる情報も増える。

前世、私が見たアニメでは老人エルフがいました。けれど、この世界のエルフは一定年齢に達すると老化しないようで見た目は皆若い。細胞分裂を繰り返してもテロメアが短縮しないのか――しかし寿命はあり、500年程度しか生きられない――脳の寿命か・・・?

長寿だからなのか性的欲求はあまりない種族らしく――自分の裸を見ても、メーリに抱きつかれても、料理の最中カテリーナの巨乳に肘が当たっても動揺せずにいられるのはこれが理由のようです。

てっきり女性になったからだと思っていたんですけどね。メーリは・・・なんだかよく興奮してるように見えますけれど・・・気のせいでしょう。



そして文字――表音文字なのに簡単に覚えることが出来ました。

私は、この世界の言葉を不思議な感覚で理解している。魔法言語を唱えた時も同じような感覚。エルフが魔法言語を理解できるのは種族特性、ようは神の加護でしょう。

きっと文字を覚えられたのも神の助けが――精霊ではなく、エニュモルマルファルス様に祈ったほうがいいのでは?




生活にもなれたので精霊の研究をします。

他の巫女達の研究報告書を読んでみると――祈る時間帯、祈りのポーズを綺麗に、捧げものをする、といった内容で参考になりません。

精霊――元々は魔力の塊だと考えられていた存在。

エルフの持つ種族特性、魔力感知という能力を使ってみると――確かに魔力を感じます。

しかし、不規則に動き、光は強くなったり弱くなったりするので、生物のように見えなくもありません。

そもそも魔力とは、魔石や生物に宿らない場合霧散してしまうエネルギーらしく、大規模な魔力汚染を浄化せずに放置して魔力溜まりができると死靈系モンスターと呼ばれる地縛霊のような存在になるようです。

この死靈系モンスターは不確定の揺れる光――魔力で構成されており、近づいた生物に攻撃魔法を放つ。魔力溜まりから動くことは出来ず、魔力がなくなれば消滅する。モンスターと呼ばれてはいますが自然現象のような存在でしょう。

死靈系モンスターを基準に考えると精霊は魔力の塊ではない。では何なのかと観察しても――やはり魔力の球体に見える。けれど光の強弱がある。

生物であれば同種同士で意思疎通している可能性が高く、光のデータを集めれば何かわかるでしょう。

といっても目で見て数値化するわけにもいかず――観測用の魔法具を制作するために魔法刻印を覚えます。

魔法具を作り――データを収集――光と動きから意味を予測し――複数のパターンを照らし合わせる。

そんな地道な作業を長年続け―――結果としては本当に生物のようで精霊は会話をしていました。

解読できた断片的な言葉は『今日は光の加減がいい』『最近は雨続きで困る』と世間話のような内容。

それを報告書にまとめれば議会で高く評価され――メーリは「今日の精霊様はなんとおっしゃっているのですか?」と毎日尋ねてくるようになり、カテリーナは「女王様の研究を手助けするために今日からここで生活します」と引っ越してきました。

メーリとカテリーナの喧嘩を仲裁し――訪ねてきた巫女達の相手をし――出会いがなくて困っているという神官兵の愚痴を聞いて―――遂に精霊語の翻訳魔法を完成させる。



その魔法で会話を試みると―――。

『あなた達は精霊でしょうか?』



『おい、なんか人間が話しかけてきたぞ』

『えっ!マジかよ・・・。俺らの言葉わかるの?』



『翻訳魔法を作りました。あなた達は精霊ですか?』



『精霊?なんだそれ?』

『あーし知ってるよ。ほら、耳長みみなが達がよく変なポーズとってんじゃん。あれ、あーしらに祈ってんだって。精霊だーってさ』

『祈ってどうすんだよ』

『そんなん知るわけ無いじゃん』



『精霊魔法を使いたいんです』



『精霊魔法?また訳わかんねぇこと言い出したぞ』

『あー!思い出した。だいぶ前に異世界転生者がなんか言ってたやつじゃね。あの時から祈りだしただろこいつら』

『で、結局精霊魔法ってなんだよ?普通の魔法とどう違うん』

『そもそもあーしら魔法使えないし』



『魔法・・・使えないんですか?』



『使えるわけ無いじゃん。ウチらをどういう存在だと思ってんの?』

『それは精霊だと思ってんじゃね』

『だから精霊ってなんだよ』



『あの・・・では、どういう存在なんですか?』

『そりゃカスだよカス』

『カス・・・?』



『神達が神様モドキっつー生物を造るときに出た残りかすだよ』

『カスっつーか、ゴミ?』



『ゴミ・・・。あの、魔法が使えないのに何故魔力を持っているんですか?』



『そりゃ駄弁だべるために魔力を作ってんだよ』

『そうそう、暇だしね~』

『寿命がないのは勘弁してほしいよなー』



『魔力を作る・・・。そのエネルギーはどこから・・・そもそもどうやって存在を維持しているんですか?』

『神力だよ』

『神力?』

『神の力だよ』

『それは・・・凄いですね』



『別に凄くなくね?』

『モンスターとかも持ってるよね』

『スケルトンとかな』

『持ってても使えなきゃ意味ないっていうか』

『あーしらも魔力の生成にしか使えないしね』

『存在維持には勝手に使われてるけどな』



『その・・・精霊魔法とかは・・・』



『だから精霊じゃねーって』

『神様モドキなら使えるんじゃね?精霊魔法』

『あいつ神力使えるもんなー』

『っつーか耳長みみなが達ってそんな理由で俺らを祈ってたのかよ』

『神を祈るべきだよね~』




(研究が終わりました・・・)

光る球体は精霊である、精霊の力を借りれば精霊魔法が使える――という仮説は大きな間違いであり、何一つ得られるものはありませんでした。

「巫女様!精霊様はなんと!!」

「精霊様は神の力を持っているそうです」

「神の力!」



「女王様・・・では、精霊魔法は!」

「・・・祈りましょう」

「「はい!」」



祈りの場――祭壇の前でメーリとカテリーナと一緒に精霊教のポーズを取ります。



『おい、また祈ってるぜ』

『神に祈ってんでしょ』

『あーし見て祈ってるよ』

『僕らに祈っても意味ないのにね~』



(なるほどどうしてこうなった)




カテリーナの話によると獣人の国と戦争をして一方的に敗けたようで――精霊魔法はいつ使えるのか!と議会から催促されるように・・・。

「神様モドキの力を借りる必要があるかもしれません」と苦し紛れの報告すれば――「国のため、巫女様のために、神様モドキを探してきます!」とメーリは旅に出てしまいました。

この世界はモンスターがいるとはいえエルフであれば比較的安全に旅をできるとのことなので大丈夫でしょう。

魔法があまり得意ではなく、少し抜けているところはありますけれど・・・、あのはあれで優秀ですからね。

そうして数年後―――戻ってきたメーリは・・・頬にアザをつくいました。



「ど、どうしたんですかメーリ、そのアザは・・・」

「巫女さま~『飛んでけ~』してください。『痛いの飛んでけ~』してください」

メーリの頬に手を当て、回復魔法を使いながら唱えます。

「痛いの痛いの飛んでいけ~~~」

「は~~~痛くないです。もう痛くないです。巫女さま~~」

興奮した様子で抱きついてくるメーリ。魔法はあまり得意ではないとはいえ自己回復魔法は誰でも使えます。

「我慢してよかったです。痛いの我慢してよかったです。巫女さまいい匂いです」

(まさか飛んでけ~をしてほしくて・・・)



「メーリ!旅の汚れも落とさずに・・・女王様から離れなさい!」

「嫌です!ツラい旅だったのです!巫女様成分が必要なのです!」

(巫女様成分・・・?)

「メーリ、何があったか話してくれますか?」

メーリの頭を撫でながら優しく訊ねると、元気なく話し始めました。

「神様モドキには会えたのです。でも、精霊魔法の使い方は教えてくれませんでした。巫女様に会ってほしいってお願いしても断られてしまって・・・」

「そうですか。それは、仕方ないですね。神様モドキとは会話が成立することはまれだと聞きますから・・・。メーリはよくやりましたよ」

「でも、あと一歩だったんです。もう少しでお願い聞いてもらえそうだったのです!獣人の国で邪魔さえ入らなければ、きっと今頃・・・」

悔しげな様子のメーリにカテリーナは訊ねます。

「獣人に邪魔されたんですの?」

「違うのです。獣人の国で普人に邪魔されたのです」

「普人?」

「普人の男です。あの格好は冒険者です。周りに女がたくさんいて・・・きっとハーレムパーティーです。ろくでもないやつです!そいつに殴られて・・・目が覚めたら神様モドキはいなくなってたのです・・・」

(普人・・・)



獣人の国との戦争――エルフも獣人も街を奪われそうになったから戦争をすることになったと主張しており、けれど戦争に敗けたエルフは街を奪われることはなく、獣人がエルフの街を狙っていると噂を流したのは普人の商人らしい―――。

(まさか謀略女王の妨害・・・いえ、考えすぎですね)

そもそもメーリの旅は彼女個人の意志によるもので国の命令ではないですし、その原因は私の苦し紛れの報告で、エルフの国の中枢で普人は働いてませんからスパイ行為など出来ませんしね。

(普人の国に協力するエルフがいれば別ですけれど、流石にそれは・・・)

そこで思い出す――あの眼光の鋭いエルフ。

『正しき信仰を!』と必死に訴えていた彼は今どこにいるんでしょうね。



「ごめんなさい巫女さま・・・」

「祈りましょう」



精霊教の祈りのポーズをとりながら私は祈ります。



(どうか精霊魔法の使い方を教えてください。エニュモルマルファルス様―――)



精霊魔法なんてそもそもあるのか分かりませんけれど、祈る相手は創造主です。

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