129, 0-74 幕間・双子エルフの暴走
・イフリンとディーヌの暴走
前回のあらすじ
ポコン
「預かってくれ」
ジョニーはソーニャをディーヌに預け、前に出ます。
ナイフを投げるジョニー。
その動きは洗練されており――双子エルフは感心します。
けれどオークには効きません。
数度投げ――剣で斬りつけ――それも効果がないと判断したジョニーは魔法の力を使います。
(あれは・・・)
剣に魔力を纏わせ――剣の中に火の精霊・イフリートン様の力を宿したジョニー。
オークを貫いたその剣は体内で弾けました。
今までずっと水の魔法を多用していたジョニーが火の魔法を使った事にイフリンは胸がすく思いです。
(やはり火の精霊・イフリートン様こそ偉大な精霊です)
ディーヌは少しだけ面白くありません。
けれど火の魔法より水の魔法を多く使っています、と自分を納得させました。
鬱蒼とした森――木々の間から差し込んでいた光が陰り始めても集落は見つかりません。
「少し周辺を探索しよう」
ソーニャの面倒を見ているジョニー以外が別れて探す事に――セリーナとヘルガが別々に進み――双子エルフは些細な言い争い――。
「このまま見つからなければ野宿でしょうか」
「焚き火でもすれば大丈夫でしょう。ジョニーさんも火の魔法をお使いになるようですし・・・」
「ジョニーさんは水の魔法を多く使っています」
「オークを相手に火の魔法を使っていました」
「スケルトンを相手には水の魔法を使っていました」
お互いに譲る気はなく――双子エルフは姉妹喧嘩を始めます。
「やはり火の精霊イフリートン様こそが偉大な精霊なのです」
「それは違います。水の精霊ウンディーヌン様こそが最も偉大な精霊です」
ここは街ではなく森の中――加減はしません。
イフリンが杖をかざし炎槍を生み出せば――ディーヌは水壁で防ぎます。
火球と水球の応酬――決着が着かないのならと蛇の魔法―――幼き頃の小さかった可愛い蛇は、双子エルフの成長とともに恐ろしい大蛇に――のたうち暴れ絡み合う炎と氷は森を破壊していきます。
「やめてーーー!森がしんじゃうーーー!!エニュモルマルファルスさまーーー!!!」
ソーニャの叫び声が聞こえたと思えば目の前に光の球が――ただの光球の魔法、けれどその魔法は双子エルフの魔法に干渉し――幻想的な輝きを生みながら炎と氷を消していきます。
(この光は・・・)
その光は双子エルフがよく祈りを捧げる精霊の輝きに似ていました。
普人であるジョニーになぜこのような事が――不思議に思う双子エルフ。
「ジョニーさん、実は精霊様が見えたりしますか?」
「俺はエルフではない。見えるわけがないだろう」
(精霊でないのなら・・・)
「ジョニーさんは神様モドキに会ったことはありますか?」
「ああ、あるが・・・、それがどうした」
神様モドキの輝きは精霊の輝きと似ている。
エルフの間では有名な話で―――神様モドキは精霊の上位存在である――いやいや御使いである――エルフ以外にも見えるように精霊が集まった姿では―――といった様々な憶測が囁かれています。
「神様モドキとは、どのような関係なのですか?」
「大親友だな」
「大親友・・・?」
気まぐれに何か力を授かったのでは、と考えていた双子エルフ――しかし大親友となれば話は変わってきます。
「その・・・大親友とは、どのようなお話をされたのですか?」
「まぁ、世界について・・・いろいろだ」
「「世界・・・!?」」
銀狼族のヘルガが凄いと言っていたのは、巧みな魔法や気配りではなく、偉大な使命を授かったお方という意味だったのでは―――。
(もしかしたらジョニーさんは・・・)
「ジョニーさんはやはり・・・水の魔法が得意なのですか?」
「ジョニーさんは火の魔法が得意でしょう」
「そんな事ありません。きっと水の精霊―――」
「いえ、火の精霊―――」
「魔法を使った回数も―――」
「回数の問題では―――」
また喧嘩を始めた双子エルフの近くには――目に涙を浮かべ、燃え残った葉っぱを拾うソーニャの姿。
「森が・・・もりが~~」
そんなソーニャを見てジョニーが言いました。
「お菓子買ってーーー」




