123, 5-12 シングルマザーと仲直り
前回のあらすじ
この変態がっ!!
集落の子供を襲っていたと勘違いされたらしく、ロリエルフを届けに来たと言えば誤解は解け、母エルフの家に・・・。
ツリーハウスへは滑車の魔法具を使い、カゴを上げたり下げたりする仕組みだった。まぁ、エレベーターだ。
家の中に入れば天井にあるランプの魔法具がついた。母エルフが魔力を送って起動したのだろう。
ソファーに座れば魔法具でお茶を温め、カップに注いでくれた。
ロリエルフを着替えさせる必要があるので、部屋を出ていく母娘エルフ。
お茶を飲みながら魔法具で溢れる部屋を見る。
凄いなエルフ。森の中なのに、街の普人より文明度が高い。
ちょっと気になるが、人の家にある魔法具を勝手に起動させて遊ぶわけにもいかないので大人しく待つ常識人の俺。
待つこと数分、母娘エルフは同じ黒い色のローブを着て部屋に入ってきた。
う~ん、母エルフはさっきの格好でよかったのに。
ロリエルフは俺のもとまで走ってきてヒザに乗る。
「もうっ、この娘ったら・・・。ごめんなさいね」
困ったように笑う母エルフはちょっとエロい。
「娘さんは街で保護されていましたよ」
「そう・・・父親に会いに行ったのね」
「父親?」
「この娘の父親は街に住んでるの」
母エルフはそう言うと、塩味の棒せんべいのようなお菓子を出してくれたので、ロリエルフと一緒にポリポリと食べながら話を聞く。
ロリエルフの父親はもともと信仰心の薄い人だったようで、集落での生活が嫌になり、街へ引っ越した・・・つまり、母エルフはシングルマザーだ。
母娘二人で暮らしていたら、ある日ロリエルフが姿を消し、必死に探したが見つからず、集落の外に出てモンスターに食べられ死んでしまったのだろうと諦めたそうだ。
なんだかちょっと冷たいように感じるかもしれないが、この世界では割と普通で結構あっさり人は死ぬ。
「魔法具の売り込みでお金を稼いだのがいけなかったのかしら・・・」
「魔法具の売り込み?」
「ええ。集落では魔法言語の研究をしているの。街に住んでいるエルフたちは精霊を信仰しているから魔法言語の研究をあまりしていなくて・・・。魔法言語の研究をすればこんなに素晴らしい魔法具が作れます、って魔除けの魔法具を売り込んだら・・・、ドワーフよりエルフのほうが優れている証拠だなんて言い出すし、街エルフは変にプライドが高くて困るわ・・・」
「魔除けの魔法具?」
「集落にモンスターが寄ってこないように作った魔法具よ。効果はまだ気休め程度ですけどね」
エルフの女衛兵が自慢していた魔法具は、集落の森エルフが作ったのか・・・。
事情説明と世間話も終わったので帰ろうとすると、「もう夜遅いので泊まっていってください」とお誘いを受けたので泊まることにする。
夜遅いというか朝早いというか、あと数時間もすれば日の出だろう。家出令嬢あたりが騒ぐかもしれないが、今から戻るのもな・・・。
というか、あいつらと合流する必要はないわけだし、テントの魔法具はもう別にいらないし、朝になったら森を出て馬車で別の街に行こう。
ソファーでシーツをかぶり考える。シングルマザー、なんだか響きがエロい。
そして俺の妄想が始まる。
「お金を持って旦那が出ていてしまうし、娘は失踪するし、もう疲れたわ・・・」
「シンママエルフ、では僕が一時の癒やしをあげましょう」
「だ、駄目よそんな!旦那が戻ってくるかもしれないし・・・」
「子供を置いて出ていくような男です。もう離婚は成立してますよ。さぁ、ちょっとだけです。ちょっと休憩するだけです」
「ちょっとって言われてもそんな」
「大丈夫です」
「だ、駄目よ、ダメ・・・♥」
「おかあさんをイジメないで!」
「ロ、ロリエルフ?!いや、これは・・・」
「イジメないで!」
「違うのよこれは・・・これはそう・・・」
「大人の仲直りよ」「大人の仲直りだ」
ゴソゴソと動くシーツをめくるとロリエルフが上ってきた。
まさかロリエルフに邪魔されるとは。
「ジョニー、いっしょに寝よ」
「自分の部屋に戻りなさい」
「おやすみ」
全くこちらの意見を聞かないロリエルフはスヤスヤと眠り始めた。
重たいが、起こすのもな・・・。
仕方なくシーツをかぶって寝る。
「―――ジョニー!おい起きろジョニー!!」
(うるさい・・・)
目を開けると何故か家出令嬢が・・・。
「朝起きたらいないから心配したんだぞ!!」
「うるさい」
「五月蝿いとはなんだっ!!」
(痛い)
暴力の振動が伝わったのか、シーツの下でロリエルフがモゾモゾしている。
シーツの動きを見て、俺の顔を見て、またシーツを見て、「ま、まさか!?」という顔をしてバサッっとシーツをめくる。
そこには服を着てムニャムニャと眠るロリエルフが・・・。
家出令嬢は自信溢れる笑顔で言った。
「信じていたぞ!ジョニー!!」
(疑いすぎだろ・・・)




