102, 0-60 幕間・家出令嬢の憂鬱
・セリーナ=ハルフォードの憂鬱
前回のあらすじ
子作りしませんか?
ジョニーはわけのわからない憶測と、銀狼族という種族について語る。
(やはりジョニーは変人だな・・・)
ゴブリンハーレムなどという発想は常人には思いつかないだろう。
しかし、ヘルガが銀狼族という種族なのは合っていたようで「知ってたなら早く言ってくれよ~」とジョニーに身を寄せる。
ジョニーは「セクハラは最低だぞ!!」と騒ぐ。
(ヘルガのアピールはセクハラだと思われていたのか・・・)
仲裁のためかギルド職員の男がやって来た。
「一体何を騒いでいるんですか?」
「この女が―――」
「ぐはっ!!!」
「ギ、ギルマス!?」
ギルド職員は血を吐き倒れ、ジョニーが駆け寄った。
冒険者達も集まりだす。
ジョニーは回復魔法を使っているのか腹部へ手をかざしている。
「大丈夫ジョニー?」
(あれは・・・)
昨日暴言を吐いていた女が心配そうに問いかけている。
「とりあえずは大丈夫だが、休息が必要だろう・・・」
ジョニーがそう言うと、冒険者たちがざわめく。
「ギルマスがいないとどうなるんだよ・・・」
「新しい職員が来るんじゃないか?」
「求人を出しても人が集まらないって話だぜ」
「どうするんだよ!」
そんな冒険者達をジョニーが一喝する。
「そんな事より今はギルマスだ!!ビブリチッタ様の教会へ運んでくれ」
「ああ、そうだな」
「俺も手伝うぜ」
「わ、私が付き添います。任せてジョニー!!」
「ああ、がんばれ」
(職員が一人倒れただけでこのギルドは機能しないのか?)
ギルドを出て帰る途中、ジョニーが振り返って言った。
「金はもうあるだろう。宿屋に泊まれ」
「今後のことを話し合う必要がある」
「今後?」
「ギルドの様子がおかしかっただろう」
「この街のギルドは、ギルドマスターが一人で支えていたからな」
「なぜそんな体制なんだ?」
「俺は知らない」
先程の悲しげな顔を思い出し、これ以上の質問は控えることにした。
ジョニーにも知らないことはある。
家に帰るとジョニーは近所へ挨拶に行くと出ていった。
「腹減ったな~。アタシが飯作ってやろう」
ずいぶんと言葉遣いが変わったヘルガが調理を始めた。
私はとりあえず革鎧に浄化の魔法をかけるが―――。
(何も出来ることがないな・・・)
何かないかと考え、風呂場へ行く。
魔法具を起動し、お湯が溜まるのを眺める。
「入るのか?」
「ジョニー、戻ってきたのか・・・」
「ああ」
「私は後でいい。先に入ってくれ」
「そうか」
私は椅子に座ってジョニーを待つ。
風呂から上がったジョニーは掃除を始めた。
ヘルガは料理を机に並べる。
ジョニーが今朝作ったスープの残りと、パンに具を挟んだ料理。
一口噛じれば香辛料とマヨネーズという調味料が絡み合い、野菜と肉の旨味を引き立てているとわかる。
「二人共料理が出来るのか・・・凄いな」
「集落でも作ってたかんな~」
(私は、戦うこと以外はまるで駄目だな・・・)
入浴後に部屋を見ると物が減り、スッキリとしている。
旅準備をしていたのか・・・。
「街を出るのか?」
「そうだ」
「旅に出るんだな」
ずっと領都の隣にいるわけにも行かないしな。私もジョニーに付いて行こう!




