101, 0-59 幕間・家出令嬢の感心
・セリーナ=ハルフォードの感心
前回のあらすじ
勝手に死にました
ダンジョンを出るとジョニーは近くの森に行くという。
「森で何をするのだ?」
「最近、熊が出てくると聞いたからな。狩っておく」
「熊が出るとなにか問題なのか?」
「新人冒険者の技量では熊に勝てないからな」
「なるほど」
ジョニーはずいぶんと面倒見が良い男のようだ。
集音の魔法とやらを使っているのかジョニーはすぐに熊を見つけて狩る。
熊を担ぐジョニー。
「解体しないのか?」
「俺は狩人じゃないからな。やり方を知らない」
「ジョニーにも知らないことがあるのだな」
「当たり前だろう。知らないことばかりだ・・・」
少し悲しそうに言うジョニー。
孤児だというし、並々ならぬ努力をしてきたのだろう・・・。
街に帰ると子供達が集まってきた。
「すげー!それにーちゃんが倒したのか?!」
「ああ」
「ごわごわしてる~」
「お肉だ~」
(微笑ましい光景だな・・・)
ヘルガも同じように思ったのか、ジョニーに身を寄せる。
「ジョニーさん、子供好きなんですか?」
「別に好きではない」
「ジョニーさん、私と子作りしませんか?」
「しません」
(子供の前でそれを聞くのはどうかと思うぞ)
「子作りってなに~~」
「俺知ってるぜ。大人の仲直りだろ。それで赤ちゃんができるんだ」
「仲直りすると赤ちゃんが出来るの?」
「それは俺にもわからない・・・。にーちゃんは知ってるか?」
「赤ん坊は大きな鳥が運んできてくれる。コウノトリという鳥だ」
「「「へぇ~~~」」」
際どい質問を上手くかわすジョニー。
子供は好きではないと言うが、父親に向いているな。
ジョニーは狩人と馴染みのようで「いつも悪いな」「お互い様です」と言葉を交わし、熊と加工肉を交換した。
「ずいぶん減ってしまったな」
「熊1体など一人では食べ切れないからな。これでいい」
「私は一人でも食べ切れます!」
よくわからないアピールをするヘルガ。
私は恋愛経験などないが、それは間違いだと思うぞ?
冒険者ギルドで報酬を受け取るとジョニーが唐突に言った。
「よし、解散だ!」
「解散とはどういうことだジョニー」
「流石にもういいだろう。新人教育は終わりだ」
「そんな簡単に教育が終わるわけがない。まだ二日目だぞ!」
「いや、そもそもゴブリンを倒せる実力があるなら新人教育は終わりだ。必要な知識は本に載っているからな。大鬼は新人殺しと呼ばれている。お前は大鬼戦士を倒せるだろう。十分な実力がある。自信を持て」
私はヘルガを指差す。
「わ、私はいいかもしれないが・・・、彼女はどうするんだ!」
「その女は問題ない」
「ゴブリンに囚われていた女性だぞ!確かに、心強く、冒険者になろうとしているが・・・、お前が支えてやるべきだろう!!」
(ヘルガはジョニーに惚れているのだぞ!)
「その女は、ゴブリンに囚われていたんじゃない・・・。ゴブリンハーレムを築いていたのだ!!」
(・・・・・・ゴブリン・・・ハーレム・・・?)
「その女は銀狼族という種族だ。銀狼族は、世界最強の種族と言われている」




