爆弾2 対フレイン 前編
<フレインの部屋、1422時>
フレイン・イクスクルはブリーフィングを終え、自室に戻るところだった。ドアノブに手をかける。
(またなんか……ジュリアのイタズラが……あったりして……)
フレインはもうなんか慣れてしまった感覚を覚えながらドアを開けた。
部屋の真ん中に「いかにもな爆弾」が置かれていた。大きさは大きめのダンボールくらいで、赤と青の導線が爆弾からヒョイっと飛び出てる。
フレインはそっとドアを閉じようとした。
「おいおい!! ちょっと待て!! 閉じたら自動的に爆発すっぞ!!」
フレインはとっさにピタリと動きを止めた。
(閉じたら爆発するのはおそらく本当……。でも音声は録音されたものだ)
フレインは少しだけそのまま動かなかった。10秒ほどたったくらいだろうか。
「おいおい!! ちょっと待て!! 閉じたら自動的に爆発すっぞ!!」
同じ音声が流れた。
「…………はぁ……」
フレインは額に汗をにじませながらため息をつく。ドアを開き、再び部屋へ入る。
「誰かに知らせても爆発すっぞ!!」
さっきと似たようなトーンの音声。
「…………」
フレインはあまり驚きはしなかった。
爆弾に取り付けられてる簡単なモニターに03:00と表示されている。それがこの瞬間にカウントを始めた。
「えぇ……」
爆弾のモニターの下には、これまた典型的に、赤の線と、青の線が露出しており、どちらかを切って爆発を止めることを誘導している。
フレインはすぐに動き出した。
<ジュリアの部屋、同刻>
モニターに映るフレインの姿はあたふたしたものだ。
勝手に俺のベッドに寝転んでるダンテが後ろから言ってきた。
「なんか『刃物……刃物……』って口にしてそうだな」
「メガネ、メガネかよ!! 腰に目当てなものがあるってのによ!!」
「ペンチくらいおいてろや。全く切れねえやつな」
「傑作だな」
まああたふたしてるフレインも見れてることだし、割とことはうまくことは運んでるんだよな。もちろん爆弾は本物。爆発もさせるつもり。
最近単発ってのか? そんなドッキリしてなかったからな。原点回帰よ。
『この番組はターゲットに人道的なドッキリを仕掛けて、それを撮影、編集し、非公式電波に乗っけて放送するという形でお送りいたします』