適性検査 終
●今日のドッキリ
「特殊刀適正検査の神刀に偽物をセットして、フレインが適合したと錯覚させる」
ダンテには余分にもう一本刀を持ってきてもらった。俺がフレインを連れてきてる間にセットしてくれたわけだ。もちろん今、熱くもなんともねえ。ちなみに「熱い」は俺のアドリブだ。
ダンテにセレジアには口裏合わせておけと言っておいたが……見事に興味のない態度よ!! 今にも帰ってFPSの続きをしたがっている。たぶん。
フレインが冷静だったらセレジアが原因でバレてるかもしれなかった。
そんなことを思っていたら、フレインは何かに気づいたように顔をあげ、立ち上がった。
そして部屋へ入っていく。
(やっべ……)
しばらくしてフレインが偽物の神刀を持って、部屋から出てきた。
俺もダンテもその場に固まったままだった。
「なんで熱くないの?」
フレインが冷たい表情でこっちを見る。フレインが部屋外へ刀を持ってきた。つまり相対的に俺もダンテも刀へだいぶ近づいたことになる。
「さあな……。刀の機嫌がよくなったんじゃねーの? 握ってくれる人が見つかったんだしなあ!!」
俺は適当なことを適当な演技に乗せてフレインに返答する。
俺の雑な演技を聞いてダンテは肩をすくめる。セレジアは回れ右をして帰り始めやがった。
まあ、笑えるフレインも見れたし、ここらで良しとするか……。
「おら、いつまで偽物握ってぼけーっと立ってんだよ!! 早く帰るぞ!!」
「…………えぇ……」
俺もダンテもセレジアに続く。フレインも開けた扉を閉めて、こっちに合流する。
「で? どやってあの部屋開けたんだ? ダンテ」
「あの案内人脅したんだよ」
「暴行ありの脅しか? あ?」
「腹パンだけだ。鞘で」
「ごくろうさん。ところでフレイン、どうして気づいた?」
「え……。なんか……危険な感じがしなかったから」
「危険な感じだ? どうしてお前の力になるかもしれねえ刀を怪しむんだよ」
「…………」
フレインは沈黙した。本人もわかってねえらしい。
ダンテが口を挟む。
「そりゃあれだ。刀を『自分を戦争に深く関わり、不幸を与える存在』として認識してんだろ。フレインにとっちゃ人生の敵だな」
フレインは黙ったままだったが、なんとなく納得したみたいだった。
「刀を握る軍人あるまじき考えだな。それならあの白い刀も人生の敵なんじゃね?」
「ドツ・ダラ・ヴィーラは守ってくれるから……」
フレインは雑な返答をした。