適性検査⑨
「…………まだあんのかよ……聞いてねえよ……」
俺たちは再び歩いて、次の神刀の場所へ赴く。
「去年は2本も神刀なんてなかっただろ」
おれはわざとらしく不平を言う。
「見つけたんだろ。エイシェから奪ったか、唯一使えた刀術士が死んだかだ」
ダンテが答える。セレジアは黙ったまま。フレインは不安そうな表情を浮かべる。
「次はフレインが開けろよ」
「えぇ……なんで!?」
「じゃんけん次に負けてたじゃねえか」
「聞いてないよ……」
「それよか、俺たち3人が遠くで見てるから、お前1人で開けてこいよ!」
「え!? 嫌だよ!」
「どうせ、ヤらなきゃいけねえんだ。開けてダメならそれで検査終了じゃねえか」
「…………」
「お? 口答えしねえってことは……?」
フレインは思考を頭の中で巡らせている。
そして……
「いいよ……」
「じゃあさっさと行け」
まあ、俺はフレインならそう言うんじゃねえかと思ってたぜ!
フレインは俺たちと検査を終える時間をズラすことで、そそくさと1人で退散して、行方を眩ますつもりだ。そんなこと簡単に予想できんだよ!!
俺、ダンテ、セレジアが扉から15メートルほど離れた場所で立ち止まる。
フレインは少し速度を落として扉へ近づく。
扉に到着する前に2度も振り返ってこっちを見やがった。
「うだうだしてんじゃねえよ!! こう、ざっと開けてしまえ!!」
「他人事だと思って……」
フレインが深呼吸するのがわかる。比較的薄い胸が少しだけ上下する。
「…………」
フレインは扉に右手をかける。
ダンテの方をちらっと見ると、表情は硬い。でも内心笑っているのが俺にはわかる。現に俺も笑ってるし。セレジアは我関せずという表情。内心は……冷めてる気がしなくもない。
フレインは少しの間だけ動かなかったが、決心がついたように腕に力を入れる。
そして一気に扉を開けた。




