適性検査⑦
俺たちは他の拒絶刀も試したが結果は似たり寄ったり。フレインがダメダメで、セレジアは結構いいところまで手を伸ばせるが、結局は触れられた刀はなかった。
俺たちは最後の種類の刀の部屋へ移動する。最後は遠くて歩いて4、5分くらいかかる。
「セレジアは《理解》に関しちゃ、割と優秀なんだな」
「ありがとうございます」
「昔からか?」
「いえ、軍学校時代はからっきしでして。切断の能力刀も理解できませんでしたわ」
「は? 切断刀は基礎中の基礎だろ。俺が学校にいた時も、《理解》できなかったやつはいなかったぞ?」
「中退のくせして」
ダンテが余計な言葉を挟む。
「おい、その言葉いらねえぞ? セレジアの話本当なのかフレイン」
俺もダンテもフレインの方に目線を向ける。セレジアとフレインは軍学校時代の同期だ。
フレインは戸惑ったようにセレジアの方を見るが、セレジアは「別に構いませんわ」と言わんばかりに飄々とした表情だった。
「ま……まあ……確かに最初のうちは能力刀での訓練ができなかったね」
「まじかよ、聞いたかダンテ、この螺旋女、落ちこぼれじゃねえか!!」
「失礼しちゃいますわ」
セレジアは依然、なんとも思ってなさそうな表情。生半可な煽りや罵倒じゃなきゃ、表情を崩すことはできなさそうだ。
「でも……能力なしの剣術の訓練だったら、誰も敵わなかった。最後の年なんて教官が負けるくらいだったから……」
「まじかよ……」
先とは違うトーンの「まじかよ」がでた。ダンテの方を見ても苦い顔をしていた。心の中で「まじかよ」と言っているのだろう。
「《理解》が苦手だったみたいだけど、切断は3ヶ月で《理解》したし、日を追うごとに他の能力も扱えるようになっていったし……。2年になるときは周りとの差を詰めたというか、実技ではトップだった……気がする……」
「へえ……トップねえ……。で? お前はどうだったんだよフレイン」
「えぇ……私……?」
「嫌ならいいんだぜ? セレジアに聞くから」
俺はセレジアに目線を送る。
「フレインさんについてですの?」
「ああ」
フレインは恥ずかしそうな表情を見せていた。なんか可愛いじゃねえか。
「そうですね……。目立たない人ではありましたが、能力戦闘でも、非能力戦闘でも、とにかくダメージを入れることができませんでしたわ。かわされたり、逃げられたり」
「生粋の腰抜け野郎だな」
「…………」
「実地訓練では、いつの間にか作戦を遂行させる御業も多々ありまして」
「腰抜けの功名だな」
「えぇ……」