カプサイシン 対セレジア 後編
セレジアは、眉一つ動かさずにドリンクを飲み終えた。
あれ? ミスったか? ダンテのミスか? おばちゃんの反逆か?
「やってくれましたね、ジュリアさん……」
あ、やっぱり辛かったみたい。
「んだよ! 辛いならそれらしい反応しろよ!! ミスったかと思ったじゃねえか!! おめえには反射がねえのかよ!!」
「なんてこと言いますの? ひどいお人ですこと。ちょっと、水を飲ませていただきます」
セレジアはテーブルからはなれ、給水器のそばで水を飲みだす。
「結局いい表情見れなかったじゃねえか……。失敗だよ、失敗! カプサイシン足りなかったんじゃねえか? ダンテ!」
「相当量入れたはずだぞ……。あんな反応でよく済むな……」
何でも屋ってのはダンテのことだ。依頼は超高額だが、犬の散歩から、暗殺までなんでもこなすぞ。
「でも、見てみろジュリア、セレジアのやつ、めっちゃ水飲んでやがる。あれで、4杯目だぞ」
セレジアは、口の中がまだ辛いようで、給水器の前から動けない。あんな隙だらけのセレジア初めて見た。
「こりゃ、プチ成功だな。笑えるw」
セレジアがテーブルに戻ってきた。若干、顔を赤くして、汗もじんわりかいてる。なんかそそる。
「どうだ? 口の中は?」
「おかげさまで、焼けるようにヒリヒリしますわ」
「そりゃ、良かった」
気分が良い。
俺は食事を再開し、
カレー
を
再び
食べ
始めた。
「かれええええええええええええええ!!!!!」
急に口の中に激痛が走った。辛いどころじゃねえ、痛い! 痛い!
「あははははははははははh!!!!」
隣のダンテがものすごい大きな声で笑い始める。腹抱えて苦しそうに笑ってやがる!
右手に、注射器を持ってやがる……。こいつ……俺にカプサイシンかましやがった!!
「ひぇめえ! デャンテ! ひゅざけやがって!!!」
俺は未開封だったペットボトルをダンテに向かって投げ、《加速》させた。ダンテは《排他》で防ぎ、ボトルが破裂。周りに、から〜い液が飛び散った。
言わずもがな、俺もセレジアもフレインも、《排他》でカプサイシンの雨から自身と昼食を守った。
「あははははは!!!!」
俺とダンテの鬼ごっこが始まった。
え? 飯? 鬼ごっこが終わった5分後に戻って食べたよ。幸いダンテは、スプーンに直に高濃度カプサイシン液を添加しやがったから、それ以外はセーフだった。
え? 残りの8つのペットボトル? 回収なんかするかよ、めんどくせえ。誰かが美味しく飲んでるよ。
●今回の改善点
作戦中ダンテから目を離さない
新たにブクマくれたお二人さん、あんがと。いっそういたずらに気合が入るわ。