適性検査⑤
「なんだジュリア。えらく多感なお年頃じゃねえか」
「うるせえ。おめえも人刀になって、永遠暗闇の中で自分と会話しろよ」
と、その時、俺のスマホが振動した。
「お? …………一瞬もどっから、先に神さまに会っておけ! ダンテ頼むわ!!」
「さっさと連れてこいよ」
俺は、部屋を出て、さっきゲンチアを預けた場所まで戻った。
「おいそこの! ゲンチア返せや」
「検査は……」
「ちょっくら出てくるだけだって」
「え……でも……」
「ああ、もう! こっちは急いでんだよ!!」
俺はすかさず案内人の後ろ側へ《加速》すると、ゲンチアを回収。それの行動を遮ろうとした案内人にイラっとし、ゲンチアの鞘で腹を強打した。
<5分後、フレインの部屋前>
バタンッ!!
俺は何も言わずに、フレインの部屋を勢いよく開け放った。
「!?」
フレインがエプロン姿でまた窓から逃げようとしていた。
「おおっと! 待てや待てや」
「えぇ…………な……なんのよう……?」
「今、特殊刀の検査やってんだけどよ!」
「…………うん」
「付き合えよ」
「えぇ……」
「あのセレジアもいんだぞ?」
「別にそれで行きたくなるわけじゃ……逆に……」
「すぐおわっからよ!」
「…………」
俺はふと、すぐ近くの、今の今までフレインがいたキッチンに目を移した。
「俺が来ても、ガスは止めるんだな」
「え……うん……」
「火事はトラウマか?」
「……………………うん」
「あれの原因てなんだっけ?」
「……ガスホースの経年劣化」
「コンロ下に通ってるやつだよな? 元栓近くの」
「そうだけど……」
俺はコンロ下を開ける。
「これのこと……あれ? ああ、これのことだな?」
「…………」
「そしてなぜかここにマッチがあるね?」
俺は戦闘服のポケットからマッチをを取り出し、箱を開け、箱を持ちながら片手でリン部分をこすり、火をつける。
「…………」
フレインはすでに全てを察している顔をしている。
「そして、偶然、少しだけ鋭利な刃物があるね?」
俺はマッチを左手で持ちながら、右手でゲンチアをゆっくりと抜刀していく。
「わかった……わかったから……許してください……」
「ええ? なんだって?」
「…………どうか、火だけは……ご勘弁ください……」
「さっさと言う通りにしてればいいものを…………あっち!!」
指を火傷した。