適性検査③
<1330時、イーティル軍本部棟地下施設>
俺、ダンテ、セレジアの一行は滅多に来ることのない地下まで降りてきた。いつも薄暗くて狭くて、窓がなくてイライラする場所だ。
施設には特殊刀適正検査の作業員、まあ案内人みたいなやつらがいる。今は能力者がちらほらしかいなくて比較的空いている。
案内人に愛刀ゲンチアを渡す。
「大事にしろよ、傷でもつけたら刀の汚れにしてやっからな」
挨拶を済ませて、他の奴らを見る。俺と同じようにダンテはエイロともう一本を、セレジアは2本の名前の知らない刀とネリンを渡していた。
「そういや、セレジアのその刀ってなんて名前なんだ?」
「秘密ですわ」
「んだよ、もったいつけんなよ」
ダンテもセレジアもテクテクと施設を歩いて行った。
「読めねえ野郎だ……」
最初の部屋
この部屋には「能特刀」と呼ばれる刀が並べられている。刀に大きな能力が《付加》された刀は「特刀」と呼ばれる。
《付加》された能力が「動作」であれば「力刀」と呼ばれる。俺の愛刀ゲンチアは「破壊」の能力を、アウラの愛刀アロルフィートラム・イーサーは「鎮痛」有するから力刀だ。
《付加》された能力が「事象」であれば「能刀」と呼ばれる。ダンテのエイロは「苦」の能力を、フレインのドツ・ダラ・ヴィーラは「運」の能力を有するから二本とも能刀だ。そして二本とも大きな能力が《付加》されていることが証明されているから、「能特刀」と呼ばれる。
ダンテのエイロはあいつが自分で打った刀だが、フレインは動術士で、刀に能力を《付加》することも、能力を《印加》(使う)こともできねえ。つまりあいつの愛刀のヴィーラはこの検査で適正があることを証明して、使うことが許されたんだ。
なんで刀の使えねえフレインにヴィーラの使用許可が降りたかって? それは後で教えてやるよ。
ダンテは部屋に10本くらい置かれている刀の1本の柄を握る。
「なにも感じねえ」
部屋の大きさは30人くらいが入れる教室くらいの大きさくらい。刀は外見以外の情報はない。
「なさけねえ……どけや……」
俺も握ってみる。
「なにも感じねえ」
「真似すんなよ」
俺の次はセレジアが握ってみる。
「…………」
セレジアが黙り込む。