ダンテ行方不明 ⑦
「フレイン!! そのままだ!!」
その声とともにダンテが現れた。完全に《加速》しきったダンテはフレインの背後から排他空間ごと突進し、3人を吹き飛ばすように体当たりした。
セレジアはダンテの攻撃に気づき、すぐさま身をひるがえした。フレインはダンテに突進されることにより、敵とダンテの間に挟まることになるが、《排他》を最大火力で発動、ダンテが繰り出した体当たりの威力はそのまま敵に伝わった。
瞬く間の攻撃に敵はバランスを崩しながら後方へ飛ばされた。そこにさらにダンテの追撃が続いた。
「どけフレイン!」
ダンテはフレインを押しのけ、敵へ《加速》するとエイロを抜刀し、敵の排他空間を貫いた。切っ先は敵の左手首に刺さり、一撃が通った。
敵戦闘員は攻撃を受けた瞬間、その場に倒れるように脱力し、左手の痛みに顔を真っ赤にした。
「ぐっ…………かっ……!!!」
敵は激しく燃えるような痛みのせいで戦闘不能。それを悟った敵はおぼつかない足で立ち上がり、《加速》を発動させ一瞬で消え去った。
「今まで食ってた道草はうまかったか?」
ジュリアが言うが、マイクを持っていないダンテには届かずに、フレインとセレジアの耳にだけ届く。
「……これ……言うべき? ダンテ……ジュリアが『今まで食べてたた道草は美味しかったか?』って……」
「あ? なんでジュリアが指令出してんだよ。特進でもしたのか? 御愁傷様」
「おい! 聞こえてるぞ!!」
フレインは2人のやり取りの間に入るのが嫌になったのか、耳にかけたマイクを外し、ダンテに渡した。
「こちらダンテ・インプ少尉」
「帰還準備をしながら経緯を報告しろ」
声は依然ジュリアだったが、妙に堅苦しい口調だった。
「やめろその偉そうなの」