カプサイシン 対セレジア 前編
視聴者の皆様ごきへんよう。今日も「ジュリアブールのドッキリTV」の時間がやってきました!
前回の再生数は17再生! そこそこだな!
え? なんでみんな超能力を持ってるかって?
そんなん、能力者だからに決まってんだろ。俺たちは能力を持ってるからこの軍にいるんだし、当たり前だろ。
基本的な能力は、身術、動術、刀術の3つが存在する。
身術:術士自身の体を使って戦闘を行う術。つまり強化人間?
動術:術士周辺の空間を操り戦闘を行う術。つまし超能力者?(フレイン)
刀術:術士の持つ刀を用いて戦闘を行う術。つまり武具使い?(俺、ダンテ、セレジア)
そういや、周りに身術士いねえな。もともと少ない人種だけどな。いたら何かと楽しそうだが……。
能力のことはどうでもいいんだよ!
それより、カプサイシンって知ってるか?
そうだよ、唐辛子の辛味成分だ。
ターゲットはセレジア。四大欲求作戦で、フレインに水をぶっかけ(ようとして、見事に失敗し)たが、今回も食事時を狙う。
『この番組はターゲットに人道的なドッキリを仕掛けて、それを撮影、編集し、非公式電波に乗っけて放送するという形でお送りいたします』
●今回の作戦
「セレジアがいつも買うスポーツドリンクにカプサイシンを混入させておく」
割と、準備が大変そうだが、これも再生数ためにゃあしゃあねえ。
●準備
①怪しい痕跡が残らないようにペットボトルにカプサイシンを注入。売り場のどこからとるかわからんから、10本ほど作っとく。
え? 俺がやるかって? やらねえよ、めんどくせえ。そこは顔見知りの何でも屋に依頼した。手作業だから一本3万だって。まあ、そんくらいなら払うが。
②食堂のおばさんに対し人道的説得術を使い、協力してもらう。
詳細省略。かかったお金、プライスレス。
これくらいか? じゃあ実行。もちろんダンテも一緒だ。
「おお、セレジアじゃねえか。飯か? 一緒にどうだ? あ?」
「お好きになさってください」
「じゃあ失礼すっぜ」
セレジア、俺、ダンテは、列に並んで食べたいものをとっていく。
セレジア:野菜炒め定食
俺 :カレー
ダンテ :スパゲッティ
そして、セレジアがいつも通り、スポーツドリンクをケースから取り出し、お盆の上に置く。そして怪しまれないように、俺もそれをとる。もちろん、カプサイシン入りだ。絶対飲まねえが。
精算が終了し、俺たちは、空いてるテーブルを探した。
「おいジュリア、フレインいっぞ」
「どこだ? ……マジだ、行くぞ」
フレインのいるテーブルに3人は近づいた。俺たちが10mくらいに近づいたところで、フレインはフッと気づいた。さすが危険感知能力チートのチキン野郎。
「おい、フレイン邪魔すっぞ。また隅っこで食いやがって」
「えぇ……」
フレインの昼食はそばだった。なんか、味気ねえもんばっか食うなこいつ。
4人揃っての昼食。周りからは異様な光景に見えるだろうか、いや、そんなことねえか。
4人は黙々とそれぞれの品を食べていく。俺とダンテは視線は向けないが、セレジアのペットボトルを気にしていた。当たり前だが。
(早く飲めや、このドリル野郎)
5分後……
ついにセレジアは定食を半分ほど食べたところで、ペットボトルに手を伸ばした。
(きたあああああ!)
セレジアは、ボトルの蓋を回す。未開封のボトルが開く音がする。せっかく30万も払ったんだ。ここで、すでに蓋が開いてる雑な仕事はありえない。
セレジアは、ボトルに口を近づける。そうだ! 行け!
そして…………
セレジアは中のスポーツドリンクを飲み始めた。
俺はダンテの方を見る。
(はい、大成功)
(おめでとさん)
だが……。
セレジアは、眉一つ動かさずにドリンクを飲み終えた。