ダンテ行方不明 ④
しばらくしてセレジアも搜索ポイントに到着。2人別々でダンテの搜索に入るが、30分たっても手がかりは見つからなかった。
「さっさと見つけろよフレイン!!」
「……えぇ……そんなこと言われても……」
「てかあいつ、発煙弾の一発も持って行かなかったのかよ」
「持ってるはずだよ……たぶん……。撃たないのはきっと理由があるから……」
「火もつけねえってことは、やっぱ敵が近くにいんのか? …………おい、フレイン。お前のチート能力はここら辺どう感じる?」
「えぇ……感じるって…………」
フレインは少しだけ静かになった。俺もイーロスもそれに合わせて黙った。
「……なんか……安全とは感じないかな」
「フレインが言うんだからそうなんだろ。俺はお前のシックスセンスを信じるぜ」
俺はイーロスの方を向いた。
「ダンテは敵から逃げられない状況ならどうにか殺すことを考える。自分が狙われるような場所へは行かない。高いところ……山頂にも多分登らん。逃げながら敵の後ろを取ることを考えるから、山のふもとでこそこそしてんだろ」
「フレイン中尉、《加速》して山頂付近へ。ダンテ少尉を上から探し出せ」
イーロスが指示を出す。
「フレイン了解」
フレインも動いたようだ。
イーロスが発言する。
「フレイン中尉とセレジア中尉に発煙弾を打たせて、ダンテ少尉に居場所を教える方法もある。敵も逃げるかもしれん。問題はその発煙弾がイーティルのものだとわからせることだ」
まあ発煙弾なんて色くらいしかはっきり見えないし、事前に色の意味を決めておかないとただの悲鳴と同じだ。でも……
「こっちのものだとわからせることなんて簡単だ。おいセレジア! ピンクの発煙弾あるか?」
少しの間のあと返事があった。
「赤と白を同じ弾に入れて飛ばせばよろしいのですよね? 大丈夫ですわ」
「じゃあ、それを打て。フレインは無色の発煙弾な。60秒後に発射」
「む、無色? 白色ってことだよね……」
オペレーターがカウントを始めた。
「色の理由は?」
「ちゃんと勉強しておけよ、上官だろ? フレインの。年越しで2人が着た着物の色だ」
「…………刀の……色か……」
正解だ。くそやろう……。
いつの間にかオペレーターが続けていたカウントが0になり、フレインとセレジアは2色の煙を空へ打ち上げた。
俺もイーロスも、フレインもセレジアも、じっと沈黙した。
…………
…………
…………
パーン
はっきり銃声が聞こえた。明らかにダンテが合図として放ったものだった。
「はい、行った行った」
俺はフレインとセレジアに言った。イーロスはその指示を否定したり、言い換えたりはしなかった。