ダンテ行方不明 ②
『この番組はターゲットに人道的なドッキリを仕掛けて、それを撮影、編集し、非公式電波に乗っけて放送するという形でお送りいたします。しかし今回はしないかもしれません』
「まあ、俺を連れてきたことだけは褒めてやるよ」
俺を叩き起こしたおっさんは顔をしかめる。
ようやく名前を思い出した。イーロス少佐だ。頻繁に任務上でフレインに無理難題を言い、作戦を遂行させる嫌な奴だ。まあ、無理難題を結局は達成するフレインもフレインだが……。
「あいつがまだ死んでなくて、敵と遭遇したとするなら……あいつ逃げられねえ状況にいるってことになる」
「なぜだ」
イーロスの野郎が言う。
「あいつは勝てねえ勝負はしねえ。敵が自分よりだいぶ強かったら、普通に逃げる。それができてねえからこの状況なんだろ」
「なるほど……」
「んなことより捜索隊はフレインとセレジアだけか? なんでこれしかいねえんだよ。というか、なんでよりによってこいつらなんだよ」
「人員は常にかつかつだ。セレジア中尉の合流の前倒しも、本来ならなかったことだ」
「赤仮面も青仮面もいねえのかよ」
「国境付近だ。派遣には慎重にならざるおえない」
その時、フレインから音声のみの連絡が入った。フレインの声はスピーカーによってはっきり響いた。
「こちらフレイン。ポイントに到着。ダンテ少尉の捜索を開始します」
「おうフレイン、おはようさん」
「え……ジュリア……」
「んだよその反応は!」
「えぇ……なんで……」
「フレイン中尉……」
イーロス少佐が俺とフレインの会話を遮り、俺が予測したことの説明に入る。
俺は黙ってそれを聞いてた。
「…………了解。直ちにダンテ少ーー」
その時、遠くからの銃声とともに、フレインが素早く身を伏せる音が聞こえてくる。
ガサガサといろいろな音がスピーカーから聞こえてきて非常に聞き苦しかった。
「どうしたフレイン? お友達か?」
「敵と接触! 対処します!」
イーロスは返答しなかった。無駄な返答は無駄だしな。
「ちゃっちゃと殺しちゃえ!! フレイン中尉!!」
俺は作った可愛らしい声で言った。
「ジュリア少尉! 発言を謹め!!」
「ははっ、へいへい」
俺の発言はフレインに聞こえただろうか。まあ、どっちでも良いが。
「セレジア中尉が敵戦闘員と遭遇! 戦闘に入りました!」
今度はオペレーターからだった。セレジアの方もお友達と遊ぶみたいだ。こりゃ敵も仲間を捜索してるな……。
「殺せ殺せ!」
「敵の生死は問わんが迅速に処理させろ」
モニターにセレジア目線の映像が映される。まだ映像が届く距離か……。でも画面が断続的でカックカク……見れたもんじゃねえ。
<国境付近、>
フレインはエイシェの戦闘員の斬撃や銃撃をかわしながら、反撃のチャンスを伺っていた。
新連載始めました。一応、本作や「怨花」と同じ世界のお話(作為的異世界シリーズ)です。
R-18のGLです。(原作原案 しずみ、執筆瀬名ハルキ先生)
ひろ×じゅり 〜女の子同士の少しエッチな訓練後〜【作為的異世界シリーズ】
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