ダンテ行方不明 ①
<ジュリアの部屋0733時>
「ジュリア・ブール少尉!! 起きろ!!」
「なっ!!」
突然の大声で起こされる。正真正銘ここは俺の部屋だ。
「うるせえ!! 起こすな馬鹿野郎!」
と言い返したが、そこにいたのは軍服をきたおっさんだった。俺に馬鹿野郎と言われて嫌悪を顔に出してやがる。
「……ジュリア少尉、緊急のため、直ちに司令室へ出頭しろ」
よく顔をみると……ああ、こいつ……フレインの上司じゃねえか。俺、こいつ嫌いなんだよな……。ダンテもこいつ嫌いなんだよな……。
「んだよ、どうかしたのか」
眠い目を擦りながら言った。おっさんは俺の態度にいちいちイラついている。
「ダンテ少尉についてだ。さっきも言った通り緊急だ。すぐに出るぞ」
ダンテが何かやらかしたのか? まあいい。仕方ねえ行ってやるよ。
「40秒で支度するから、出てけ」
司令室。任務を遂行する立場の俺たちがここに来ることは少ない。少し薄暗い巨大な会議場んような構造のホール。中央にいくに従って下っていく、浅い蟻地獄のような所。中央には大きなモニターが6枚、六角柱を作って立っている。俺たちの近くにはオペレーターも2、3人いる。
で、俺が呼び出された理由だが……。
・昨日22時頃、エイシェとの国境手前の山地で、ダンテ・インプが任務中に行方不明
・近くにいたフレイン・イクスクルが捜索を0時ごろ開始
・ダンテと合流予定だったセレジア・アンデルスタも、前倒しでダンテが行方不明になった場所へ急行中
・本部は、任務中にダンテが敵戦闘員と遭遇し、連絡をとる手段を何らかの理由で失ったと予想している。
・ダンテの行動予測をするためにジュリア・ブールが本部司令室に呼ばれる。
こんな感じだそうです。
『この番組はターゲットに人道的なドッキリを仕掛けて、それを撮影、編集し、非公式電波に乗っけて放送するという形でお送りいたします。しかし今回はしないかもしれません』