水ぶっかけ 対フレイン 後編
ダンテはコップをフレイン側へ勢いよく傾けた。水がテーブルを走り、フレインへ迫る。
「おっと、悪り……」
ダンテの申し訳程度の謝罪が途切れる。
しかし、水はフレインの《排他》によって防がれた。水がテーブル上で何かに当たったように止まる。
(バカが……)
ほんと使えねえなコイツ。
俺は、すでに刀を振り上げていた。このままフレインの後頭部へ振り下ろすしかあるまい。
その時、ダンテがとっさにフレインから見て、俺の反対側をチラッと見る。
フレインがダンテの視線に気づき、その方向を勢いよく振り返った。
(ナイスじゃねえか!)
ほんと使えるわコイツ。
振り返った先に誰もいないことに気づいたフレイン。
日本刀「ゲンチア」を振り下ろす俺。
その二つは完全に同時だった。
だが、俺のゲンチアは宙を斬り、勢いあまり、椅子を叩いた。大きな音が食堂に響く。
フレインは、一瞬で椅子から転がり、俺の攻撃を避けやがった。
ダンテが俺の方向へフォークを投げる。俺はそれをキャッチして、フレインの方向へ投げる。
俺は刀術で《加速》を発動せてフォークを文字通り加速させる。
弾丸並みの速さのフォークはフレインの《排他》によって弾かれ、上方向へ軌道が変わり、食堂の天井へ刺さった。
気がつくとフレインの姿はもう見えない。
「くそったれがああ!」
「だらしねえ、二発でも決められねえのかよ!」
ダンテがほざく。そしていつの間にか周りの有象無象から注目されているのに気づく。
「おい! 見せもんじゃねえぞ!」
「見せもんだろ」
ダンテがほざく。
俺はフレインの席に座る。椅子が少しだけひしゃげてるが、気にしない。
「あいつ、うどん残して行きやがった。まだ半分もあるじゃねえか。食べもんを大切にしろってんだ」
俺はフレインの箸で残りを食う。麺はすすらない。しずか〜に食べる。
「見ろ、ジュリア、フォークの形そのまま天井に残ってんぞ」
フォークは真横の状態で天井に埋もれていた。
「うけるw」
二時間後……
「お腹すいた…………」
ブクマくれたお二人さん、やるじゃねえか。あんがと。その調子でひいきにしてくれや、へへ。