テスト……勉強……? 対フレイン 中編2
「おいダンテ! 用事の前に毒味してけ!!」
「拒否する」
そう言ってダンテは部屋を出て行った。
「…………」
「…………」
「…………」
セレジアとフレインは俺の方に視線を向けてやがる。
「なんだよ……。先に食えってか?」
「ジュリアさんしかいませんわ」
「……お願い」
「だまれ!! じゃんけんだ、じゃんけん!!」
俺たちはじゃんけんで最初に食う奴を決めた。負けたのは……フレインだった。
「うっしゃあああ!!」
「よろしくお願いしますわ」
「えぇ…………」
「おら、早く食えよ」
「……………………うん」
フレインは箸を持ち、おそるおそる丼に近づける。気のせいか、手元がぷるぷる震えてるように見える。
「……い……ただきます」
「おい、そんなびびんなよww」
「ビビるよ!!」
フレインは野菜と肉を箸でつまむと、それを口にした。
「…………なんともない……けど」
「うーん……後からくるパターンか? さっき俺とセレジアもそれでやられたからな」
「え!?」
「コーヒーに大量のカフェインを入れられまして」
「えぇ…………」
「おいフレイン。料理してるところ見てたんじゃねえのか?」
「うーん……。別に変なことはしてなかったよ……。でも、来る前に何か入れられたらわからないよ?」
「だよな……」
ぐう
その時、俺の腹がなった。目の前の見た目は美味しそうな飯と、食欲を誘発させる匂い……。
「…………食べちまうか…………」
俺は箸を持った。セレジアも同じく箸を持った。
「いただきます」
「いただきます」
俺は大きめの一口を頬張った。
…………
…………
…………
なんともな……辛っ!!!!
「辛いな!! 辛い!」
「わたくしのは辛くありませんわ」
「くっそ!! 俺のだけかよ!! 最後の最後で辛く味付けしやがったな!!」
口の中がヒリヒリする。…………が、セレジアの飲み物にカプサイシンを仕掛けた時よりは辛くない。なんというか、あいつにしては中途半端だ。
俺はもう一口だけ、丼を食べた。
「辛ええ。……でも…………食えなくはない……」
少し多めに白米を食えば割となんとかなる辛さレベルだ。
セレジアもフレインも黙々と丼を食べている。ダンテの料理がそこそこうまいってのがわかる。それは俺が今食っているこの辛いのも同じだ。
「気に食わねえな……。辛いがギリギリ食べられる辛さに調整して、捨てさせない意思が感じられる」
割と辛さがいい味出してる気もする。やっぱり、調理師の免許を持ってるだけのことはあるな……。
俺たち3人は黙々とダンテの作った料理を食べて行った。