テスト……勉強……? 対フレイン 中編
フレインはなかなかこっち側にこなかったが、3分後にやっとこっちに来た。
「やっぱ4人はせめえな……。とりあえずデスクの方に座りな」
「うん……」
フレインは、デスクに向かい、椅子に腰を下ろそうとする。
俺は視線を教科書に向けるが、耳は超研ぎ澄ます。
…………
…………
何も聞こえない。だが、ここで顔を上げたら不審に思われる。
いいや!! 見ちゃえ!!
フレインは腰を下ろす瞬間に、なにか違和感を感じ、中腰で固まっていた。そして姿勢を戻す。
(こいつ…………物の残留思念でも読めるのか!? 人の悪意に敏感すぎる……)
「どうかしたのか?」
「……いや……なんとなく」
フレインは《排他》を発動させ、椅子に手を伸ばし、座布団を退ける。薄いブーブークッションが露わになる。
「…………??」
ブーブークッションに何か描かれているわけではない。ましてや薄型のそれは一見、ただのマットに見える。
フレインは決してクッションに触れようとしない。
「セレジア、この敷物なに?」
「さあ、ジュリアさんにお聞きくださって」
フレインは俺に視線を向ける。
「座ってみればわかる。さっきセレジアも座ったから危険なものではないぞ」
フレインは再びセレジアに視線を向ける。セレジアは「まあ、安全ではあります」と言ったような目を向ける。
「えぇ……なんか、変な嫌な予感がする……」
なんだよ、変な嫌な予感って……。危険性がないからか?
フレインは座布団をクッションの上に乗せ、恐る恐る腰を下ろした。
ぶう
「はっはははっはは!!」
俺は大声で笑い転げた。
「…………なんだぁ…………」
フレインは本当に危険性がないことに安堵する。こいつにとって自分の身を脅かすものじゃなければ、そこまで気にしないのか? フレインに対しては怪我をさせるのが目的だから、少し過激なドッキリになってたから、気づかなかった。
逆に考えるとセレジアに対してもっと過激なドッキリをしても…………また散髪しちまうか……。今度はベリーショートにされかねん……。
フレインはブーブークッションをデスクに置いた。その時ダンテが言った。
「おい、何やってんだ。飯できたぞ」
運んできたのは多めの野菜と肉を乗せた丼ぶり料理だった。
「で? 今度は何入れたんだ?」
「さあ」
「え!? 何か入れたの!?」
「またですの?」
「あ? 丼が3つしかねえぞ?」
「ああ、俺は今から用事がある。おめえらで食えや」
「もしかして私が急に……」
「フレインが来ようが来まいが、作った量は変わってねえ。2等分が3等分になっただけだ」
「おいダンテ! 用事の前に毒味してけ!!」
「拒否する」
そう言ってダンテは部屋を出て行った。