テスト……勉強……? 対セレジア 後編
セレジアがトイレから戻って来た。
そっと、座布団の手前でかがみ、膝を乗せた。
ぶう
見事大成功!! 椅子にセットしてないから、ケツを乗っけた瞬間に鳴らないのは仕方ないとしても、セレジアに一発かますことには成功した。
が……。
ぶう……ぶう……
セレジアはそのまま普通に座布団の上で正座し、勉強を始めた。顔色は微塵も変化しない。少し動いてぶうぶう鳴ろうとお構いなしだ……。
「ちっ……相変わらず嫌味な野郎だぜ……」
「野郎ではありませんわ」
「どっちでもいいわ! うるせえからそのクッション取れや」
「あなたが仕掛けたのでしょう?」
「いいから!!」
俺はセレジアの下からブーブークッションを回収した。
<20分後>
「くっ…………!!」
やられたよ……!! こんなことだろうとは思ったんだ!!
「いてえ!! 頭がいてえ!!」
「やっと効いてきたか」
ダンテが不敵な笑みを見せる。
「苦かったのはカフェイン大量に入れたからだな?」
「テアニンも同じくらい入れといた。感謝しろ。それでも頭痛は来るんだな。どんだけカフェイン耐性ないんだよ、おまえ」
「クッソ……」
セレジアもコーヒーは飲んでいた。が、平気そうに勉強してる。でも、セレジアの顔をよく見ると少し赤くなってる…………気がする。
「セレジアはよく、『体調が顔に出るね』って言われねえか?」
「わたくしですか? あまり言われません。でも、顔はすぐに赤くなるますわ」
<さらに1時間後>
集中力が切れねえ。淡々と勉強だけが進んでいく。聞こえるのは3人のページをめくる音と、コーヒーを飲む音だけだった。頭痛は以前、頭を殴り続けるが、それでも勉強になんの影響もなかった。
<さらに1時間後、1344時>
集中力は切れねえが、腹が減ってきた。それを見越したようにダンテがまた、セレジアの部屋の台所に立つ。
「今度は何入れるんだ?」
「入れて欲しいのか?」
「いや、勘弁だ」
「セレジア! 台所使うぞ!」
「お好きに」
ダンテは冷蔵庫を開け、考える。
「…………難しいな……」
そう言うも、野菜などを取り出したダンテは、まな板と包丁を使い、それらを切っていく。心地良いトントントンという音が部屋に響く。
集中力が切れたわけじゃないが、なんか歩きたくなっちまった。
「ちょっくら散歩してくる」
俺は立ち上がり、部屋を出て行く。炊飯器がついてた。ダンテのやついつの間に飯なんか炊いたんだ?
「いってらしゃいませ」
セレジアが言う。
別に、何か企んでるわけでもねえが、本当になんとなく散歩したかった。
兵舎棟を出て、外へ出る。別においしくねえ空気に、透き通ってるわけでもねえ空。でも深呼吸する。
5分くらい歩いてたら、見覚えがある背中が見えた。
「…………フレインか?」




