テスト……勉強……? 対セレジア 中編3
「セレジアの苦手な科目ってなんだ?」
俺はなんとなくセレジアに聞いた。
「別に、得意な教科はありませんの」
「あ? 意外だな」
「そうでして? 生存知識は死なないためにも必要ですので、割と覚えてる方ですけど、その他二つについては、あまり興味を持てませんので……」
「戦闘技術の知識は実際の戦闘には役立たないってか?」
「そうではありませんが……。実戦は頭で考える方ではありませんの……。ですので、実戦と知識が噛み合いません」
「……なるほど。なんとなくわかる。セレジアの戦闘スタイルは思いのほか型破りだからな。刀の構え方も、片手で、刀身を下ろして構えることが多いし、大胆なタイミングで体術に持ち込むことも少なくないしな」
つまり、セレジアは本能タイプって感じ。トリッキーとまでは言わねえが、奇抜な動きはセレジアの強さの源でもあるし……。勉強したら、戦闘力落ちるんじゃねえの?
ダンテがいつの間にかセレジアの部屋の台所で何か作業をしていた。
俺の視線はダンテがさっきいたデスクに向く。閉じられている本。カバーがかけられていて、一見何の本かはわからない。だが、よく見ると小説にしてはでかい……。
「…………」
俺は立ち上がるとそっとデスクに近づき、本に手を伸ばす。
「おい!! ジュリア!! それに触るな」
ダンテが大声で叫ぶ。振り返るとダンテは銃を握り、こちらへ向けていた。おまけに引き金に指をかけて。
「びびらすなよ……。で? 何読んでんだ? この大きさ、本当に小説なのか? あ?」
俺は再び本に手を伸ばす。
「触んなって!!」
ダンテは引き金を引いた。
銃弾は俺の脳天に向けて正確に打たれたが、もちろんおれは《排他》を発動。銃弾は排他空間に軌道を変えられ上方にずれる。銃弾は天井に打たれた。
「人の部屋で発砲するのはやめてくださる?」
セレジアが苦言を呈す。
「本当に打つやつがいるかよ」
俺は本を開く。
ページ内を見ても何について書かれているかわからなかった。だからカバーをとって表紙を見る。
『カラーコーディネーター 2級対策』
「……………………」
ダンテの方を見る。
ダンテは「してやったり」っといったような顔つきで俺の方を見る。
「んだよ!! 密かにテスト対策してると勘ぐったのに!! 大げさに芝居しやがって!!」
「滑稽だ。騙された気分はどうだ? 一緒にカラーコーディネーターとってみるか? あ?」
「誰がこんなのとっかよ!! なんのメリットがあんだよ!!」
俺は本をダンテの方に投げつけた。
ダンテはすでにコーヒーカップ3つが乗ったお盆を持っていたが、《排他》を発動させ、飛んできた本を防いだ。