テスト……勉強……? 対セレジア 中編2
「狭くなくて?」
「いいじゃねえか。じゃねえと勉強してるって感じがしねえ」
「ダンテさんはいたしませんの?」
「あいつは余裕だからいいんだとよ。じゃあなんで来るんだよ。暇人かよ」
「ああ、暇人だ」
ダンテはセレジアのデスクの椅子に座り、ふんぞり返って本を読み出した。読書なんて珍しい。
俺は、セレジアの部屋を、横目で見渡す。別になんてことない部屋。ものも少ないし、生活感も少ない。窓割り侵入作戦を2度もやったが、いつ見ても味気ねえ。
目立つのは、窓に設置してある大きな鉄格子くらいか? てか、2回目の侵入自体は成功したんだから、これはそのあとにまた復元されたものだ。確認してないが、多分俺の金で。
「あのチェーンは自前でつけたのか?」
俺は対策資料を開きながらセレジアに聞いた。
「総務に頼んだだけですわ。お金は総務もちです」
「なんで、総務がお前ん家のチェーン設置代払うんだよ」
「『誰かさん』の名前を出せば、予防措置、対策措置として、簡単におりますわ」
「ふーん……。で、誰かさんってだれだ?」
「本気で言っていまして?」
「冗談だよ」
勉強する科目は大まかに3つに別れる。戦闘技術、生存知識、基礎教養だ。両は1:1:1くらい。
俺は……基礎教養が苦手だな……。なにせ、まともに勉強したことがあまりないから、そもそも知らねえ問題が多い。
この手のテストは、軍学校現役時代は、必死に勉強してたせいで余裕だったが、卒業して知識を使わなくなったら忘れちまう奴らが、知識を思い出す作業になるのが普通。
だが、俺は…………また軍学校に入学した状態も同然ってわけだ……。
ちなみに、戦闘技術、生存知識は小さい頃から、親父にみっっっちり教わったから、ちゃんと覚えてる。体が覚えてる。脊髄が覚えてる。本能が覚えてる。
親父には感謝してるぜ。まあ、親父は俺が手に掛けたけどな。
勉強は至極静かに進んだ。30分くらいしたところで、俺の集中力が少し切れた。
「セレジアの苦手な科目ってなんだ?」
俺はなんとなくセレジアに聞いた。