4人で年越し 前編
<ジュリアの部屋1600時>
「2100時に集合って言っちまったけど、あと5時間もあるな……」
まあ、早く集まってもなんかダレそうだし……。
「知るかよ。番組の編集でも依頼したらどうだ」
「そうだな」
俺は耳にかけてあるインカムを外して、ノートPCに繋いであるケーブルにぶっ指す。データをある人に送り、ついでにチャンネルの再生数やチャンネル登録者数をチェックする。
「お、再生数いい感じじゃねえか。チャンネル登録者も4人も増えた!! でへへへ。やっぱり、『登録してくれたら俺はすごく喜ぶ!! 俺 が 喜 ぶ ! ! !』って書いて正解だった。でへへへ」
「顔が緩んでるぞ、気持ち悪い」
「うるせえ。嬉しいもんは嬉しんだよ」
「視聴者のことなんて知るかとか言ってるくせして」
「それでもだよ! んなことよりダンテ、20時くらいから年越し料理を作ってくれ」
「いいが、30万な」
「…………ん」
「まいど」
「それまで寝るわ……。さすがに眠くなってきた……」
「俺は一旦戻るぞ、着付けの準備もしねえと」
一方フレインは……
アウラ・ピインの部屋に来ていた。
「アウラ……ちょっとベッド借りたいんだけど……」
「いいですけど……なんでですか?」
「2人がしつこくて……」
「ああ……ジュリアさんとダンテさんですか……」
「絶対鍵閉めておいてね……。もしかして……ここも開けられるかな……」
「まさか……」
「セレジアも同じことされてるのかな……」
「セレジアさんなら、さっき練習場の方へ向かって行きましたよ」
「(2人から)逃げたか……」
<ジュリアの部屋2001時>
「おい、いつまで寝てんだよ……」
「…………ん……あぁ?……もう……そんな時間か……」
俺は眠い目をこすり、ベッドから起き上がった。ダンテはすでに料理を始めていた。煮物がぐつぐつと煮える音がする。
その時、ダンテのスマホが鳴った。
「はい、ああ、待ってろ。支払いは済んでる」
ダンテは電話を切った。
「おいジュリア、煮物混ぜてろ」
「え? 火止めりゃいいじゃねえか」
「じゃあ、弱火にすっから見てろ。フレインの部屋みたく火事にさせんなよ」
「誰がすっかよ」
<ジュリアの部屋40分後>
俺は煮物を混ぜながら、3人が遅いことにイライラしてた。
その時……
「あれ……まだ玄関直ってないんだ……」
フレインがやってきた。
「遅えぞ!! 何やってたんだよ!!」
「えぇ……まだ2100時になってないよ……」
「まあいい、振袖結構似合うじゃねえか!! 胸でかくないからな!!」
「えぇ……ひどい……。もしかして、私たちを着せ替え人形扱いしてない?」
「あ? んなわけねえだろ。…………花はちょっと赤すぎたか……。外してもいいぞ」
「……じゃあ、邪魔になったら外す」
「それより、台所かわってくれ、疲れた」
「振袖で?」
「袖が邪魔か? じゃあ…………はい、襷」
「……ああ、持ってるのね……」
フレインは襷を慣れた手つきで体に回し、袖をまとめる。
そして、ちょうどその時……
「まだ、玄関直ってませんの?」
セレジアも来た。