フレインの部屋が燃えたから 対フレイン 後編
<ジュリアが寝てから1時間後>
フレインは俺が寝てからしばらくして、寝袋へ入って目を閉じた。
が…………。
一向に眠らねえ!! いや、眠らねえというより、俺が少しでも音を立てた瞬間、フレインがビクッてなって目を開けやがる。
これじゃいつまで経ってもデコを赤くさせるなんて無理じゃねえか!!
こうなったらとことん待ってやるよ!! 我慢比べといこうじゃねえか!!
<さらに1時間後>
状況変わりなし。寝返りうっただけでも、フレインの寝袋の方からごそって音がする。なんか俺が一切動いてない時でもビクッてなんてる気もする。ひどい時には体まで起こしやがる……。
まさか、俺が起きてることに感づいているのか? まさかな……。
<さらに2時間後>
状況変わりなし。
なんか俺も辛くなってきた……。もう楽になりたい……。でも、イミナのおかげで眠れねえ……。
<朝0600時>
結局一睡もできなかったし、フレインも終始ビックビックしてた。もうだめだ……。朝日も出てきたし……起きよう。
俺はベッドから起き上がった。
それと同時にフレインも寝袋に包まれたまま芋虫の様に、ハッと上半身を起こす。
カーテンを開ける。
「おはようフレイン、今日は冷えるな、あ?」
「おはよう……ございます……」
俺とフレインは身支度を始めた。
歯を磨きながら見る俺の顔……。
「ひでえ顔してるな……」
主張が激しい目元のクマと、やる気がねえ表情。寝不足な朝ほどテンション上がらねえもんはねえよ……ほんと……。
フレインの顔も見る。俺と同じくらい眠そうな顔してやがる。
「フレイン……眠れなかったのか? ひでえ顔してるぞ」
「なんか……ぐっすり眠れなかった……。睡眠が浅くて、誰かに追われてる夢ばかり見てたかも……」
俺の思惑には気づいてなさそうだ……。やっぱこいつの危険察知能力は超動物的な本能によるものなんだな……。
「おめえは草食動物か!」
「え? どういうこと?」
「なんでもねえ」
フレインは本来訓練の予定だったが、火事の件で、引っ越しとか、その他もろもろやることがあった。
俺とダンテは訓練と少しのミーティングがあったからそれに参加するため本部棟へ。
「おいジュリア、顔がお亡くなりになってるぞ」
「うるせえな……」
「どうせ、イミナ飲んで、フレインの寝込みを襲おうとでも思ったんだろ? その顔だとおめえの負けの様だな」
「引き分けと言え」
「攻める側が、攻められなかったらそれは負けと同義だよ」
「うるせえ! そんなことより、頼んだ依頼は済んだのか?」
「ああ、ずいぶん苦労したがな……」
「それはよかった」
俺がダンテに依頼した内容は、「セレジアの部屋の鍵を作成すること」だった。