フレインの部屋が燃えている 対フレイン? 後編
<フレインの部屋1908時>
フレインは自室のベッドの上で寝ていた。前日の20時から今日の15時まで任務があり、終わり次第仮眠をとった。
深く眠っていたはずのフレインだが、ハッと目を醒ます。
フレインの危険察知能力が鋭敏に発動する。
違和感は嗅覚からだった。
「……ガス臭い」
フレインは直ちにベッドから飛び出し刀を持ち、暗い部屋の中、台所へ向かう。《排他》を強く発動させ、ガスの元栓があるキッチン下の扉を開ける。ガスのホースが劣化により緩くなり、元栓部分から抜けていた。
直ちに換気扇をつけようとするが、その時、またフレインの危険察知能力が「今すぐ逃げろ」と警告を出した。
フレインは急いで窓の方へ走った。近くのドアを開けなかったのは、いち早くガスが充満してない場所へ移動するためだった。
フレインが3歩ほど走った瞬間、背後が一瞬で明るくなり、炎が立ち上がった。
フレインは窓を開け、そこから飛び出す。部屋は地上4階。フレインは飛び出した瞬間から《加速》を重力とは逆方向へ発動させる。
フレインの体は人がギリギリ怪我をしない程度の速度で、コンクリートの地上へ降りた。
「火事…………」
フレインは緊急の番号へ連絡をとろうとするが、スマホがポケットに入っていないことに気づくと、周りを見渡し、見ず知らずの人に電話を借り、なんとか緊急の番号へ連絡をとった。
「…………以上です」
「ははははは!! 笑える!!」
俺は当然笑う。
「えぇ……」
「災難ですわね」
「マジで普通の火事かよ。つまんねえな」
4人でいると、総務と軍警の奴らが2人でやってきた。
フレインが対応する。
傍目で見てると、その2人がこっちに視線を向けてきた。
「俺はかんけえねえよ!! 失礼な奴らだな!」
フレインもそう説明したらしく、それ以上濡れ衣な視線は向けてこなかった。
「心外な……」
「日頃の行いだろ」
「おめえも言えた立場じゃねえだろ!」
フレインと総務、軍警の話し合いは代わりの部屋の話になった。
「…………」
「おいジュリア、なに企んでんだ?」
「ん? ああ……。まあ、見てろ」
俺はフレインたちに近づいた。
「宿屋をお探し? 俺の部屋は空いてるぜ?」
「えぇ…………遠慮します……」
「なんでだよ! 何もしねえって!! 変なことしねえから!! な? 1日だけ!!」
「……絶対何か企んでる……」
「この前カレー食わせてくれたお礼だよ。それに、お前がどこにいても、襲撃なんて簡単なんだぜ? ドアもガラス窓もぶち抜いて侵入してやるよ? 家主か、その部屋の所有者に迷惑がかかるだろ? それなら俺の部屋で一緒にいた方が丸く治らねえか?」
「えぇ…………」
総務と軍警が何か言おうとするが、俺はその2人を睨み、発言を許さなかった。
最後の望みが途絶えたフレイン。
「…………えぇ…………」
そして、俺とフレインの熱い夜が始まる。