フレインの部屋が燃えている 対フレイン? 前編
<兵舎棟フレインの部屋前1920時>
けたたましく鳴る非常ベル。鼻が曲がりそうな物が焦げた匂い。天井まで伸びる大きな炎。
見たまんま、火事。
廊下から見たフレインの部屋。
「視聴者の皆さまこんばんは!! 今日も「ジュリア・ブールのドッキリTV」の時間です!! 見てくださいこの炎!! よく燃えてますねえ!! フレイン・イクスクルの部屋ですよーー。嘘じゃないですよ!! この炎の映像を見ながらOPといきましょう!!」
『この番組はターゲットに人道的なドッキリを仕掛けて、それを撮影、編集し、非公式電波に乗っけて放送するという形でお送りいたします』
「前回の再生数は78再生。あまり視聴者のお気に召す内容じゃなかったみたいですね! 知ったことかよ!!」
と、言いながら俺は再生数を気にします。そこでこの火事!! 良い絵ですねえ!! 再生数アップ間違いなし!!
燃えてる部屋の周りには何人か野次馬がいたが、今、消防班の奴らが来て、消化活動を開始した。
炎は台所付近から燃えている。炎はデカイが範囲自体はそこまで広くはなさそう。
俺はフレインを探した。残念ながら携帯は繋がらない。
廊下を少し歩いて見渡してみても、いない。
「おい、ジュリア。大胆なことするじゃねえか。フレインに火傷の一つでもつけられたか?」
ダンテはいた。
「なんだ、ダンテか。んなことより当のフレイン知らねえか?」
「はあ? いない時に放火したのか? それともまた一瞬で消えたのか?」
「…………」
「…………なんだ、お前とこの火事とは無関係か」
「ご名答」
放火なんてしてません。そうなるようにトラップを仕掛けたりもしてません。
なんか通りかかったら勝手に燃えてた。
消火活動が終わりつつあった。部屋の近くにセレジアがいた。フレインの部屋とセレジアの部屋は4つ隣だから、この騒ぎには当然気づくよな。
「おいセレジア、燃えてる部屋の主知らねえか?」
「存じませんわ。そんなことより、あなた方がここまでするとは思いませんでしたわ」
「心外な。俺たちじゃねえよ」
「本当ですの?」
火が完全に消えた。興味本位で部屋を覗いてみると、やっぱり台所付近がひどく焼けている。奥のベッド等がある部屋はあまり燃えていない。
そして目に入るのが、窓ガラス。
開いてる。
「外へ逃げたんか、あいつ」
じゃあ、もう戻ってきてもいいんじゃねえか?
「あのチキン野郎のことだからそのままどっかトンズラしたんじゃねえの?」
ダンテが言う。
その時、
「えぇ…………」
よく聞く声が聞こえた。
フレインが俺たち3人の後ろにいた。