刀奪い 対フレイン 前編
髪を整えた。美容院で。
毛先を整えただけな。セレジアのやつ、スパッと綺麗に切断しやがったから、必要なかったかもしれんが。
で、今回のターゲットはフレイン。
あいつは動術士だが、刀を持ってる。もちろん能力刀だが、それをどうにか奪おうかなと思ってる。
●今回の作戦
「フレインの剣術練習におじゃまして、刀を奪う」
ここで重要なのが、ちゃんと俺も練習としてフレインと手合わせを何度も行う。そして長い時間をかけて油断させる。ついでに体力も奪う。
さっそく実行。
軍訓練棟、1300時
フレイン発見。誰かと一緒に木刀で手合わせしてる。
「おうジュリア、アウラもいやがる」
「あ? ああ、あの赤髪、本当だ。ダンテと同期だっけ? まあいいや、突撃!」
俺たちは堂々とフレインたちの元へ接近していった。
「ようフレイン。練習か? 精が出るな!」
フレインは俺が発言する前に気配を察知し、一瞬で振り返り、《加速》と《排他》を発動しようとする。
「おい待て待て! 俺たちも練習しに来たんだよ!」
逃げられたらたまったもんじゃねえ。自然に引き止める俺。
「えぇ……。 本当? また何かたくらんでるじゃない?」
「失敬な。俺だって一日中ドッキリやってたらパンクしちまうよ」
「……………………」
とりあえず、逃げられはしなかった。
そして、ダンテがアウラ・ピインに話しかける。
「ようアウラ元気か? 腰痛めたんだって? 大丈夫かよ」
「…………うん。大丈夫」
なんかアウラがダンテに対してヨソヨソしい。まあ、どうでもいいや。
ということで、4人で手合わせをすることに。フレインは腰に刀をさしたまま、木刀で手合わせをするつもりらしい。どうにか奪うか、置かせるかしなければ。
もちろん能力の使用は禁止。まあ緊急で危ない時とかは別にいいが。
俺も指輪の《排他》と《加速》は使えるが、もちろん使用禁止。外しはしねえが、使う気もない。刀術士である俺は、実刀を握れば発動できるいろいろな能力は、木刀じゃあ発動できない。《取扱》も使えねえから木刀がすごく重く感じる。
フレインVS俺
フレインの刀さばきもなかなかのもの。15歳の少女じゃ歯が立たねえわ。10秒ほどでフレインの握る木刀が、俺の喉元の寸前で止まる。
「はいはい。まいった。んじゃもう一回」
4回ほどやったが同じ感じ。
アウラVSダンテ
ちなみにアウラも刀術士。この作品の能力者の割合偏りすぎじゃね?
刀術士:俺、ダンテ、セレジア、アウラ
動術士:フレイン
身術士:なし
アウラとダンテの手合わせはダンテ優勢。わりとあっさりとダンテが勝った。
ダンテはちゃんと軍学校卒業して、それなりのエリートだ。まあ、教官を殺害した事件があったが、何とか退学にはされなかった。事件についてはいつか話してやる。
1時間経っただろうか。そんなとき…………。
「あら、皆さんごきげんよう。何をしてまして?」
あいつも来た。
言葉遣いでわかるよなあ?
ちなみにアウラは同作者の別作品の主人公だ。