爆弾1 対フレイン 後編
「来た!」
叫んじまった。ダンテもすぐに目を覚まして、モニターの前に来やがった。都合のいい奴。
フレインは戦闘服姿で廊下を歩いてくる。いつ見ても幸薄そうな顔してる。こんなんが最強かよ。
フレインは部屋にあと10mって所で足を止める。
「気づかれたか?」
ダンテが口を出してきた。
「うっせえ、だまってろ。まだ消化器の方を見てないから気づかれてねえよ!」
フレインは何か違和感を感じたか、そこから動こうとしない。さすが、危険察知能力チート。
「押しちまうか」
ボタンに指をかけちまう。
「無駄にすんなよ、安くはなかったんだから」
うっせえ奴だ。
「ちっ」
舌打ちして、もう少し待つ。
モニターに映るフレインはゆっくりと部屋のドアに近づく。そして消化器の異変に気付く。でも、その時点で、消化器に2mほど近づいていた。
「勝ったな」
俺はボタンを押した。
爆発と同時に消化器の消化剤があたりに撒き散らされる。フレインの姿は白い煙で見えなくなった。
俺とダンテはモニターを見ながら無言でハイタッチした。
へいへい! これで再生数アップ間違いなし!!
だが、煙が晴れた時フレインの姿は見えなかった。
「しくじった!」
俺は叫んだ。
「あーあ、だらしねえ、早漏すぎなんだよ!」
「言ってろ」
フレインは動術の能力を持ってやがる。その能力に《排他》と《加速》ってのがあって、《排他》は自分の体の周りにバリアのような壁を作る能力。《加速》は文字通り、自分や物を加速させる能力。どっちも能力戦闘で基本となる能力だ。俺は動術は持ってないが、二つとも使える。ダンテも使える。理由はまた今度教えるわ。
消化剤の後は一様に廊下に広がっていて、フレインが消化剤を《排他》で防いだ跡は見られなかった。
「こりゃ、爆発前に逃げられたな」
ダンテも同意見らしい。
●失敗理由
爆弾設置を横着したこと
フレインの体力、思考力を削ってなかったこと。
次は部屋の中に設置してやる。ついでに威力も倍にしてやる。まあ、飽きたからしばらく後だが。
次のターゲットはセレジア・アンデルスタ。外見悪役令嬢みたいな髪型ドリルの女兵士。この番組(俺)が狙うのはフレインとセレジアの二人がメイン。ときどきダンテ。
さてどうしてやろうか……