現実世界帰り襲撃 対フレイン 後編
<14日1934時 ジュリア、ダンテ任務終わり>
「寝っむ!!!」
あくびが止まらねえ。あくびが出てくるし、涙も止まらねえ。
「めんどくっせえ……」
ダンテのやつもそんなことほざいて眠そうだ。
「イミナ使うか……さすがにフレインと戦闘できる脳じゃねえぞ」
イミナっつうのは興奮薬物のTMX-137の通称だ。137でイミナ。DMX-13と17と37もあるが、メジャーじゃねえ。使ってる奴らも見たことねえ。
能力者の能力の根源は精神力や、集中力って言われってから、薬物とかでそれらの増強ができれば、もちろん能力も強力になる。
使う奴らも割といる。3割くらいか? セレジアは使わない派だって。
「摂りすぎんなよ。また胃洗浄と拮抗阻害剤打つ羽目になるぞ」
俺はこの前、経口薬と注射薬を同時に使って、痛い目を見た。敵の前で動けなくなった。恥だったが、ダンテに担がれて退散した……。恥っず!!
そして俺とダンテは経口でイミナを摂取して、シャール基地に向かった。
<シャール基地2109時>
「ジュリア、あれじゃねえか?」
俺とダンテは基地に到着後、スコープでフレインが帰ってきそうな方向を監視していた。二人とも、最初はうとうとしたが、イミナのおかげで目が覚めてきた。
「どれだよ……。ん?…………お、あれだわ」
フレイン確認。っと待てよ……なんて格好してやがるwww。
現実世界帰りは本当レアな服装が見られるぜww。現実世界で戦闘服、刀を見せるのはもちろんご法度よ。でも、なんのアニメのコスプレだよww。
だから、服装は指定される目立たない服になる。刀はギターケースか、偽装した弓袋に入れることになる。
でも、メガネはいるか? なんか、どこぞの大学生に見えてくる。…………あ、年相応か……(フレイン、21歳)。
早速作戦実行!! 突撃!!
「よう、フレイン。現実任務お疲れ様。能力は戻ったか? こんな時だが稽古つけてやるよ」
「えぇ…………。なんで、任務のこと知ってるの……」
俺とダンテは刀を構えた。フレインもいつの間にか抜刀してた。この世界に帰ってきてすぐに、ギターケースから出して、手に持ってやがったな……チキンが……。
俺が仕掛けて戦闘が始まった。フレインは俺とダンテの攻撃をいなしながら、どうにか、逃げようとしてるが、《加速》が使える俺たちに回り込まれて、動けない状態が続いた。
「どうだ? お得意の《加速》が使えない戦闘は?」
「えぇ……。なんでこんな……」
「スベコベ言わずにやっつけられろ!」
俺とダンテはお互いの行動が大体は把握できてる。この連携にフレインも歯が立たないっぽい。
ダンテはフレインの一瞬の隙を見て、刀を握る右腕を掴み込む。体と刀の動きを制限されたフレイン。
「よくやったダンテ!」
だが、フレインは急に動きが素早くなった。体と掴まれた右腕をねじるように動かして、ダンテからの拘束を無理やり解きやがった。さらに、ダンテの戦闘服を掴み上げ、足をかけてバランスを崩させた。ダンテは転びはしなかったが、地に手をついた。
フレインとの距離が少しだけ開いた。
「はあ……」
フレインがため息をつきやがった。「呆れ」のため息っぽくない。なんか「諦め」をため息に感じた。
フレインはおもむろにポケットからあるものを取り出した。
「は?」
「あ?」
まさか……それは……。
「使いたくなかったけど……」
フレインが出したのは針のない注射器だった。すぐにそれを鎖骨あたりに注射する。
それの正体は言わずもがな……イミナだった。
「てめえ卑怯だぞ!! イミナなんか使いやがって!!」
「えぇ……そんなこと言ったって……逃げなきゃ、やられそうだから……」
俺は、とっさに《加速》して、フレインに突撃した。だがフレインはその攻撃をいなして対処する。
ダンテも同じように当たるが、ダメージを与えられなかった。
そして、フレインがイミナを打ってから、1分後、瞬く間に姿を消した。
「くっそおおおおおおお!! 逃げられた!!」
「あいつ、能力なしで、俺に手をつけさせやがった……」
ダンテもムカついてるみてえだ。
ああ、今回も作戦失敗。
ふと、地面を見ると、フレインが鎖骨に刺した注射器が落ちてた。それをダンテが拾い上げる。
「これ……イミナではあるが……通常の100倍薄いぞ……」
「はあ? アメリカンかよ! 100倍希釈なんか使うやつなんているのかよ! 信じられねえ」
「この濃度で、あの《加速》…………あいつ本当は能力チートなんじゃね?」
「はは、冗談……」
●今回の失敗理由
無理なスケジュール管理
二時間後……
ジュリア、寝室にて
「眠れねえ……」
ダンテ、寝室にて
「眠れねえ……」
フレイン、寝室にて
「眠れない……………………」
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