見学します。
「そういえばトラック入ったって何ですか?」
廊下を歩きながらデルリアはマレナに聞く。
「あーあれな。異世界転生候補者が出ると、まず電話が来るんだがその時死因も言い渡されるんだ。」
「死因ですか?」
「あぁ。死因ってのはそいつが今どういう状況かってのが分かるいい判断材料になるんだ。例えば自殺とかだったらそいつが悲惨かもしれないって察するだろ。」
「なるほど。だから死因を伝えるという事は重要なんですね。」
デルリアは胸ポケットからメモ帳を取り出し、メモを取る。
「んで、なぜか知らんがその死因の中で一番多いのはトラックによる交通事故なんだ…。」
「そうなんですか?」
「あぁ。実は最初の頃はトラックによる交通事故の方が来ますって報告してたんだ。けどあまりにも多すぎてトラック入りますで通じるようになってる。」
「あーなるほど。」
デルリアは一応メモする。
「どのくらい多いんですか?」
「今月に入って50を超える。」
デルリアは目を丸くする。
「なぜそんな危険なもの放置してるんですかね。」
「それよりトラック使う仕事の方を私は心配しているよ。」
二人はため息を吐く。
「さて着いたぞ。」
しばらく歩くと、赤く大きな扉にたどり着く。
「ここは?」
「ここは魂保管部屋、いわば生と死の中間地点という所だ。」
「ということは今日の転生候補者はここにいるということですか?」
「その通り。よく勉強しているじゃないか。」
マレナはデルリアの頭を撫でる。
「勤勉なのは良いことよ。ウナクール君。」
「マルボーロです。あ、ありがとうございます。」
デルリアは思わず照れしまう。
「さて早速行くわよ。」
マレナは上着をより神々しくさせる。
「おーすごいですね。」
「でしょ?良い?脇ダーツ君。」
「マルボーロです。」
「神々しいと書いてこうごうしいと読むの。つまり神はねこうごうしいという言葉にふさわしい格好で出るのがマナーなのよ。」
マレナはそう言って扉を開ける。
「さてあれが今回の候補者ね。」
遠くで一人の青年がうろうろしている。
「見てなさい!ここで思わず神々しいと言われるような登場をするのよ。」
そう言ってマレナは光り輝き、浮いて彼の元へ向かう。
「迷える子羊よ。こちらに来なさい。」
そしてマレナはそう言って彼の元へゆっくりと降りる。
「こ…。」
青年は目を丸くした。
「こ…。」
(さー言いなさい…神々しいって!)
青年はそれを見て思わず
「小〇幸子…!」
と言った。
マレナはショックで本気でデザインを変更することを考えた。