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最終話 それぞれの明日に
「とうとう絵の道にまた戻るんだね」
シェリーは嬉しそうにうなづいた。
「そうなんだ、ところでおまえらの新譜の話はどうなったの?」
珍太郎は興味深そうに言う。
結果的に珍太郎は直感的に楽しそうな道を選んだのだ、まだ結婚もしていないラストチャンスを彼は選択していた。
選択というにはあまりにも直感的なことであった事はみんなに黙っていたい。
珍太郎はそう思った。
中小の内定が決まった瞬間、有給を取って、立ち飲み屋で酔っ払っていた勢いで行きます!と言ってしまったのだ。
そういった手前、感情は新しい道へ取り返しのつかないほどに進んでしまった。
辞表を出した。
バカかと、ムノさんはいう
大島さんは
「若いうちは思ったようにやってええ、でもなそういう発言自体がわいらの言い訳や。」
といった。
やめるのは二ヶ月後、近々送別会もあるみたいだ、飲み屋は高くて美味いところを希望した。
そして西洋料理だ。
普段は行かないからさ、、
「without a melodyのレコーディングが終わって、今日マスタリングが終わったんだ。あまりにも会心の出来で手当たり次第レコード会社にも送ったよ。」
「俺たちは未来への船出をしたんだね。」
「違うね、俺たちは未来へずっと漕いでたんだよ」
サボリーマン珍太郎完




