第44話 珍太郎凱旋6
下町のやきとんをかじっている珍太郎。
割と回転の早い人気店だけあって、周りのお客さんとの会話は少ない。
となると、頭の中でうんちくばかり垂れてしまうのが彼の癖である。
美味いつまみや酒を体系的に頭の中に入れておくことで、酒場インプットを増やす。
それは珍太郎にとって、快楽に等しい事なのであった。
「まず、やきとんというのは、豚の内臓肉を串焼きにして出す料理であると。
そして、醤油や味噌で作った熟練のタレにくぐらせ、炭火で焼いたものという理解で良いか。
さらに「「やきとり」」と書いた場合も、やきとんと=になるのも覚えておいた方がいいわな。
鶏肉の串焼きは「「焼鳥」」で豚肉の串焼きは「「やきとん」」なのだ。」
このあたりが基礎というわけである。
「実は内臓肉という事で癖も多いやきとん。
初心者でまずおすすめなのは、「「かしら」」
こめかみの肉で、普通の正肉に近い、癖がなく、ジューシー、
この俺は一番食べてしまう部位だ、しかし下町の酒場など、やきとんが大きいところは
結構モタれるので注意が必要だ。
次におすすめなのは、「「レバー」」たまに匂うものがあるが、
良いものに当たった時の口でとろける感じはやばい!さらにそういった場合は、刺しも注文しておこう。
今は生では食べれないけれどね。
鳥皮が好きな人はシロを注文しよう、ぐにゅぐにゅ、パリパリした食感は酒が進むこと間違いなし。
ちなみにタレのうま味を味わう、味を見る場合は、これを食べるのが一番、味が良くしみやすいからだ。
さらにやきとんの王と言えばタンである。
食感の豊かさは、まさに内臓肉の醍醐味といえる部位であり、やきとんを食べるならぜひ試してほしい。」
「最後にこれだけは言いたい。
塩、たれから選ぶ事がスタンダードであるが、
たまに味噌だれというのを選べる店があるので、そういう場合はカシラに合わせて食べよう。
最高の経験ができるはずだ。
また、レバーの場合は、店の親父が話好きな場合は、ごま油とねぎで焼いてくれます?
と聞くべきだ、こちらも本当に素晴らしい。」
少し頭が疲れてしまった珍太郎はボールを片手にアツアツのカシラを口にする。
カシラの脂をボールで溶かす、この感覚はやはり下町独自のものであると思う。
そしてやっぱりやきとんは熱いうちに食いたい。
さて、今日もそろそろ帰るかな、その前にあと一杯飲むべきか、否か、、、




