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サボリーマン珍太郎   作者: ケリーバーン
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第3話 近鉄球団とSLAYER

二日酔いの珍太郎は、適当に見計らって、いつものエレベータに向かった。


ごみを回収する業者が今日も一所懸命回収作業に打ち込む中、

珍太郎はIPHONEをポケットから取り出し、プロ野球の結果をチェックする。


昨日は千賀(ソフトバンク)が先発して、あえなくオリックスは敗戦したようであった。


珍太郎は少年の時、中村ノリという選手の特大ホームランをテレビで見たその日から、

特に地理的理由もないのに、近鉄バッファローズの大ファンであった。

球界再編で近鉄球団が無くなった際は、涙と共に野球ファンを辞めるつもりであったが、

仰木監督最後の漢気を見て、オリックスのファンとなったわけである。


そんな彼にとってオリックスは心の支えであって、

その勝敗の方が仕事よりよほど大切な事であった。


「Tよ、球をもっとよくみろよな、、

フォークを頭にいれておかなきゃ打てるもんも打てないだろ」


バット等振った事もないくせに、妙に偉そうなのも一部野球ファンの特徴であろう。

ちなみに言うまでもなくTとはオリックスバッファローズのT-岡田選手の事である。


プロ野球のニュースを一通り見ている間に、エレベータでのサボりタイムも終わりを告げた。

やりたくはないが、月次レポートに手を付けなくてはならない時間である。


二日酔いである為、月次レポートの進捗もよぼよぼだ。

今日のお供の音楽を、登録サービスのライブラリから探すと、ちょうど良い物があった。

「SLAYER Rain in Blood」

「アウシュビッツ!!!!」


アメリカのスラッシュメタルバンドSLAYERトム・アラヤの凶暴な叫びを聴くと、珍太郎はふと思うのである。

何の為にもならないこんなレポートを書かなくちゃいけないけど、悲痛な世界の悲劇に比べれば

全然俺は幸せだなぁ、、、と。


しかしレポートも半ばに差し掛かる時、珍太郎の心を重苦しい空しさが襲うのであった。

SLAYERにもらった勇気と元気は計らずとも闇の中へと消えてしまう事となった。

二日酔い恐るべしである。


筆者はウイスキー片手に珍太郎に言いたい。

「酒に百害あって一利なし」と。

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