第2話 二日酔いの憂鬱
目覚ましをつける癖が染みついている。
珍太郎最大の酩酊対策であるからだ。
過去に何かやらかした事は言うまでもない事だが、珍太郎なりに学んだ結果このような手を打っているのである。
この日もまた凄まじい頭痛と胃腸の痺れとともに起きると、数分ばかりベットで疼いたのちに、最低限の良心を持って、シャワーを浴びる事にした。
会社に着くと、珍太郎曰くくだらない朝礼がある。
「珍太郎、今日の業務内容は。」
「提出用の月次レポートの作成を主にしながら、各種担当業務の進捗を留意する予定です。」
つまらない仕事の事を口にすると何だか運気が下がるような気がして、胸に嫌な風が通ったような気分になる。
酒を飲まない人間にはわからないと思うのだが、二日酔いはうつ病にかなり近いものがある。
酩酊者は昨日何かしてないかと心配になる事でまず精神をやられる。
そしてその上で38度の熱が出たようなだるさがあるのだ。
あと、あまり風邪を引かない。
おそらく小さいものはこじらしているのだろうが、二日酔いと紛れてわからないからだ。
その上何だか妙な匂いがする。
むせるような感覚と共に思い出してきた。
「やべっ、二郎食っちまったよ」
酩酊者は多量飲酒により、ミネラルが不足する。
その渇望が現実的な形、つまり味の濃いラーメンやスタミナ丼などの形に変わる。
カフェイン、コカイン、アルコール、ニコチン。
世の中には中毒薬物が多くて、困ったものだ。
しかしながら、それなしに生きてけるかというと、おそらく難しいのだろうけど。
「さて、ひとサボりしたら軽く働くか。」
今日も珍太郎のサボリーマンライフは続いていくのである。