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サボリーマン珍太郎   作者: ケリーバーン
27/53

第26話 ブラックホール

飲み屋という天国は夜が咲き散っていくのと共に藻屑となって消えてしまう。


珍太郎はいつものオフィスで、ただ訳もなくデータ入力をしていた。

分析という建前、しかしこのぐぅたら部署はノルマもなく、

何度となく同じ資料を作成しているのだ。


しかし二日酔いの珍太郎にはむしろ嬉しい仕事。

珍太郎の基本ポジションは片耳にイヤホン、

そしてバックグラウンドにyoutubeが基本だった。


大体が野球のラジオ、オリックスのものが少ないので、

面白いものであれば球団は選ばないスタイルだ。


今日も朝から女が元気だ。

よくもこんな仕事で、キィーキィーと声を立てて、感情を入れられるものだ。

珍太郎には彼女の気持ちがわかるわけはないのだ。


ムノさんは無気力な顔で席に座り、ときおり徘徊をしていた。

そして大島さんがいないことを時折愚痴っていた。


「まったく、あの酒飲みはしょうがないよぉ、

ほんとだめだ、だめだー」


話をしやすい馬沢に同じ話を何度も何度も繰り返す。

嫌気の刺した顔で馬沢がうなづいている。


珍太郎は無視を決め込んで適当にデータを打ち込む。


「「古代ギリシアの時代、三人の石工がいました。

そこに一人の旅人が現れ、石工職人たちに質問をしました。


「あなたは、何のために石を切っているのですか?」


一人目の職人はお金をもらうためといいます。

二人目の職人は腕を上げるために仕事をするといいます。

三人目の職人は

これから何百年も町の皆さんが訪れることができる立派な教会の土台を作るためといいます。」」


よくある仕事の価値の話だ。

珍太郎は前者だと思った、そしてこのぐぅたら達も同じなのだ。


このような仕事をしているとよく哲学的な空想と付き合うことになる。


そしてたまらないもどかしさと、やるせなさに包まれる。


そんな中、女が大声でまくし立てた。


「田島君!!!これやっといて!!」


明確さにかける指示の為、何をしていいのかがよくわからない。

そもそも珍太郎は課長でもないただのやつに偉そうに指図されるのが気に入らなかった。


しかし、会社社会で女に何かするのもまずいので、適当に用件を聞きだし、仕事をすることにする。


外注管理室に向かう業務用エレベータは何もかも飲み込んでいくブラックホールのようだ。


理想や妄想を飲み込み、そして現実だけを吐き出していった。


外注管理室では外注業者が一所懸命にプログラムを作っていた。

そして彼らは非正規の労働者であったり、社会的に弱かったりする。


「もしかしたら俺は天国にいるんじゃないだろうか?」


「俺には何もかもがある、金も時間も、うまい酒も、恋人も

友も得て、そして立場だってあるじゃないか。」


しかしどうしてこんなに空虚なんだろうか、

煙草部屋に答えを求めたけど、珍太郎には見いだせなかった。


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