第24話 いざ田舎村へ!
珍太郎は喫茶店でスケッチを書き上げると
頭の中は今夜の飲み場所でいっぱいになった。
「そういや、今日大島さん怒られてたな。
どうせ残ってるだろうし、誘ってあげた方がいいかな。」
飲兵衛は飲むためには様々な解釈をする。
なんだかんだで連れ酒が好きな珍太郎は大島さんと飲める方に思考を巡らせてしまう。
それは吉田類を讃える人間のようなものだ。
吉田類の酒場放浪記、何も知らない、興味のない人間からすると、ただおっさんが酒を煽っているだけの番組だ。
しかし、その手の通の間では吉田さんはすごい人間なのだ。
大島さんもただのろくでなしのおっさんだが、
珍太郎にとっては癒される兄貴分のようなところもあるのだ。
「まだ残ってます?飲みましょうよ」
ちょっと前にLINEをしかけておいた。
アルコールトラップはゴキブリホイホイのように飲兵衛を引っかける、そういうものだ。
「いくで!!どなしようか?」
「やきとんのあそこか、田舎村にしましょうか?」
「田舎村えぇな!思い切り飲みたいねんな!」
さっそく田舎村に繰り出す二人。
ボロボロの雑貨ビルの目の前で大島さんは待っていた。
「なんだ、飲んでたんですか?」
「せや、立ち飲みでいっぱいやっとったで。」
地下へつながる細い階段から、暖色の怪しげな光がこぼれていた。
今にも崩れそうな古ぼけた看板も来るものを拒むようにそこにただずんでいた。
「焼酎200円」
のそのそと傘を畳むと、二人は地底魔城へと階段を下って行った。
重いガラスの扉を開けると、たばこの煙がもわっと噴き出した。
「ごほっ」
慣れてても咽るような強烈な空気をかき分けると、
カウンターと数席を幾人が囲っていた。
野球帽を被り、くしゃくしゃの顔には一体化したようにたばこがくっついている。
そしてエチルアルコールの臭いが漂う。
大島さんはくたくたになった自動販売機に千円札を粗末に突っ込むと、五枚ほどの券を取り出した。
「焼酎何で飲むっ?」
「僕はプレーンで」
おっさん達をかき分け、太ったおかみに二枚を献上すると、
相席の要領で、テーブル席を確保する。
「厚揚げとだし巻きで」
珍太郎が券を投げ捨てて渡すと、横の老婆が訳もなく笑った。
「相変わらず、場末だな、ここは」
「これがええんや、華やかなとこにいって、わいら何になるっちゅうんや。」
俺たちは場末に咲く月見草でいい。
場末も煌びやかな街へと地続きなんだから。
きつい焼酎を口に運ぶと、人工的な甘さが喉を刺した。




