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サボリーマン珍太郎   作者: ケリーバーン
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第20話 A melody

どんなに酷い宴席であっても、開始前後の30分、1時間くらいはまともであるものだ。


そんな時に、珍太郎は、MDやシェリー、そしてジュエル達と会話をかわしていた。


「実は、アルバムを作っていてね、曲もほぼできあがってるんだけど、

ワンピース何かが足りない。

怒りや悲しみ、そして信念といったテーマに対しての音楽に自信はあるんだが。」


シェリーは困ったように言っていた。


「あたしは、人間は希望に向かっていく事に価値があると思っているの。

怒りや悲しみに浸る事で傷を癒す事は、人間の持つ自浄作用としてとてもいいわ、

けれど、最後は希望に向かわないと、その人って何のために生きてきたのか?

という事になってしまうとおもうの。

今のNo Ruleのアルバムは自浄作用でしかない。

それを一歩進めるためにWithoutという曲を書いているんだけど、、、」


ジュエルは案外哲学的でよく考えている人だと珍太郎は思った。


「そもそも、withoutって英単語は、それなしにとか、そういう意味の単語だよね。

短絡的だけど、Without youと言えば、君なしではとかね。

そういう意味では「何がなければ」という事、

そして「何を失っているのか」が俺には大切な気がするな。」


珍太郎も大手勤めなだけあって、最低限の学と発想力があった。


「いいこというじゃん!

俺もそう思っていた、さらに言えば、アルバムのコンセプトというところにもつながってくる、

すなわち、ジャケットとリンクしていればなおいいなって!」


MDはただ危険なだけでなく、トータルプロデューサーのような考え方をする人間だと珍太郎は思った。


「珍太郎君も何か思いついたら、教えてね。

すごくいい線をついていると思ったからさ。」


どことなく上からなシェリーの一言。


そのあと、まもなく宴席や模擬ドラフトに飲まれていったが、

たしかに珍太郎は次につながる何かを手にしていた。


時は戻り、デスクトップの前で珍太郎はガッツポーズした。


「やつらが失っていたのは、Melodyだ!

であれば、Without A Melody だよ!」


ブラッシュアップの要素を少し残した状態で、書き出しの処理に入りながら、

Lineでシェリーに連絡をいれた。


「アルバムの件でいい事思いついた、飲み行こうぜ!」



大船酒店で待ち合わせをすると、すでに焼酎を一杯やってるシェリーがいた。


「先ついたから、一杯やってた、二日酔いがまだ残ってるからあんま飲めないけどね、

あっ、マカサラ一つ!」


珍太郎も口癖のように注文を始める。


「メガ霧島をソーダで、マカサラ一つと、ぼんじり二本たれで」


「あいよ」


鉢巻を巻いた中年のおじさんが慣れた口調で返事をすると、焼き鳥の準備にかかった。


「さっそくだけど、酔っ払っちまう前にアルバムの話をしておこうぜ。」


珍太郎はそそくさとIPHONEの中身を確認するのであった。

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